“ムーンライト マイル” ★★
Moonlight Mile
(2002年アメリカ映画)

監督・脚本:ブラッド・シルバーリング
制作:ブラッド・シルバーリング、マーク・ジョンソン
出演:ジェイク・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、エレン・ポンペオ、ホリー・ハンター

 

この映画を観ようと思ったのは、ダスティン・ホフマン主演の故。
何と言っても、ダスティン・ホフマンは「卒業」以来、私の青春期における名優でしたから。

結婚式の直前に発砲事件に巻き込まれて死んでしまった一人娘・ダイアナ。彼女の両親ベンとジョージョー、それに婚約者だったジョーは、ダイアナに逝かれた悲しみを分かち合うため一緒に住み始めます。そして、ベンとジョーは共同で不動産事業を行っていくことになります。
ところが、ジョーは、ベンとジョージョーに告げられないでいる秘密があった。それは、ダイアナが死ぬ3日前に婚約を解消していたという事実。ジョーが逡巡しているうちに、彼はバーティという郵便局勤めの女性を恋するようになる。

葬式から始まり、上記のようなストーリィですから、暗く地味な印象のまま展開していきます。そのうえ、ジョーの振る舞いは優柔不断としか思えない。
しかし、やがて見えてきたものは、一人娘の死、可哀相な一家という世間のイメージに抑圧され、お互いを閉じ込め合おうとするかのような3人の姿です。
それを揺り動かし、ジョーに真実を見る道を開いたのは、ジョーと愛し合うようになったバーティからの強いメッセージに他ならない。
言わば、ダイアナの死によってベンとジョージョーは、自分達をもまた死んだような状況に追い込んでいた。ジョーの逡巡は、本能的にそれへの疑念を感じていたからに他なりません。
勇気をもって真実を見つめること、ダイアナを美化することなくありのままのダイアナを語ること、それによって呪縛が解かれたかのように、3人は自分達の生活を取り戻します。
地味なストーリィですけれど、ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンターと出演者は名優揃い。映画では新顔のエレン・ポンパオの存在も、光っています。奥深い味わいのある名品と言って良いでしょう。

2004.02.21

 

※ダスティン・ホフマンの映画はどれも忘れられない名作ばかりです。
卒業(1967)、真夜中のカーボーイ(69)、小さな巨人(70)、わらの犬(71)、ジョンとメリー(?)、パピヨン(73)、レニー・ブルース(74)、マラソン・マン(76)、大統領の陰謀(76)、アガサ・愛の失踪事件(79)、クレイマー・クレイマー(79)、トッツィー(82)。
ピーターパン物語であるフック(91)は、それまでの作品とちょっと趣が異なるもの。レインマン(88)を見損なっており、いずれ観ようと思いながら未了。

    


  

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