“マネーボール” ★★☆ 監督:ベネット・ミラー |
米国野球大リーグ、資金的にも恵まれない弱小球団オークランド・アスレチックスを常勝チームに変身させた実在のGM(ゼネラル・マネージャー)、ビリー・ビーンの成功物語を描いた作品。
運営資金に恵まれない故に折角育てた有力選手も、金持ち球団に奪っていかれるばかり。そんな弱小球団を強くするためにビリーが選択したのは、名門イエール大卒のピーター・ブランドが提案した、緻密なデータ分析を基にした選手補強策。 しかし、他球団が邪魔扱い、あるいは嫌う選手ばかり集めたビリーの方針、開幕当初から敗戦ばかりという状況にGMへの批判が次第に高まっていく。 そんな中でビリーが取ったのは、活躍中の選手を放出してまで当初計画に固執するという背水の陣。ところがそれからチームは・・・・。 驚愕するのは、大リーグにおける選手放出、補強の冷徹さ、苛烈さ。電話一本で他球団のGMと好きなように瞬時で選手のトレードを決めていくのですから、そのやり取りだけ見ていると、選手という人間を単なる商品として好きなように売買している、という感じです。 しかもそのビリーはというと、高校では花形選手で有望視されてメジャー入りしたもののプロでは全く活躍できず、早々に引退、スカウトに転身したという経歴の持ち主、大リーグでお役御免になった苦しさ、苦さを十分知り尽くしている人物。 野球にまつわるストーリィですからもっとスポーツものらしい躍動感が味わえる作品かと思っていたのですが、シリアスで、本質的には凄まじいばかりの人間ドラマ。 孤独に耐え、逆境に負けず闘い続けたビリーという人間の姿がそこにくっきりと描かれています。 ブラッド・・ピットが好演。彼に拍手を送ります。 2011.11.12 |