拮抗したテニスの試合で最後のマッチポイントの時ボールがネットにぶつかったら、ボールが相手側のコートに落ちるか自分の側に落ちるか、その運次第で試合は決せられる。
そんなマッチポイントに擬えられた、愛欲サスペンスとでもいうべきスリリングなストーリィ。
主人公となるクリスは、プロテニス界を諦めてテニスクラブのコーチに転身した青年。雇われたテニスクラブでトムと知り合うことになったクリスは、実業家であるトムの両親、妹のクリエに紹介され、クリエに見初められたことから一転して将来への展望が開かれる。その一方、トムの婚約者であるという、女優を目指すアメリカ人女性ノラを知ったクリスは、ノラの官能的な魅力にも惹かれていく・・・。
この作品、スカーレット・ヨハンソン出演ということだけに惹かれて観た次第。
富への欲と性への欲の両方に惑わされ、自分を律することもないまま両方を手に入れようとし、そのくせ自分の欲求だけを正当化しようとするこの主人公、そんな主人公を描くストーリィ、私の好みではありません。それでも、スカーレット・ヨハンソンを観れるだけで本作品を観る甲斐はあります。
そのスカーレット・ヨハンソン演じるノラ、あくまで脇役ですが、主人公以上に存在感ある役柄。
ロンドンにやって来て女優としてのチャンスをものにできないでいるものの、金持ちの息子トムに見初められて一流家庭の一員となるチャンスをものにします。それは彼女の官能的な魅力あってのことで、つい悪女ではないかという印象を受けてしまうのですが、実はそんな自らの官能的魅力の故に弄ばれてしまう可哀相な女性。
独力で生きているというノラの、冒頭から最後へと次第に生々しい自分をさらけ出していく姿を演じるスカーレット・ヨハンソンは、真に見応えあります。
なお、このストーリィ、アラン・ドロン主演の名作「太陽がいっぱい」に通じるところがあると思うのですが、如何でしょう?
2007.05.04
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