“崖っぷちの男” ★★☆ 監督:アスガー・レス |
主人公のニック・キャシディ、偽名を使ってNYにある高層ホテルの眺めの良い部屋に投宿したと思ったら、食事した後俄かに窓から外へ出て、外壁の僅かな縁に立つ。
その姿を通行人がみかけ、飛び降り自殺者かと大騒ぎ、警察も出動。 するとキャシディは、交渉相手として女性刑事リディア・マーサーを指名、急遽呼び出されたマーサーが駆けつけるが、単純な飛び降り自殺候補者ではないことにマーサーも気づいていく。 実はキャシディ、元警官。バイトで引き受けた警備仕事中、顧客の30億円相当のダイヤを盗んだとして逮捕され既に2年間服役したところで、父親の葬儀をという機会を捉え脱獄中、という次第。 そしてキャシディが立ち続けるホテルの向かいにあるビル内では、キャシディの弟ジョーイとその恋人であるアンジーによって、ある計画が進行中・・・。 自分の無罪を晴らすため、乾坤一擲の勝負に出たニック・キャシディをめぐるサスペンス。 高層ビルの外壁の縁という舞台は、まさに“崖”に例えられますが、再び逮捕されれば25年の懲役という運命が待ち受けているキャシディにとっては、飛び降りて自殺するのと大差ないこと。まさにキャシディは、何重にも“崖っぷち”に立っていると言えるのです。 その舞台自体がスリリングな上に、縁に立つキャシディと説得あるいは強行突入の駆け引きを繰り広げる警察側、また弟ジョーイとアンジーによる計画はどんなものなのか、そしてその成功可否は・・・。 一寸先にどういう展開が待っているのか、まるで予想もつかないという、見事なスリリング。 いやー、最後の最後まで惹きつけられ、見飽きることがない、見応えたっぷりなサスペンス作品でした。 主役のサム・ワーシントン、キャシディと絶妙な駆け引きを演じる女性刑事マーサー役のエリザベス・バンクスを始めとした主な出演者皆々、演技のし甲斐もさぞあったろうと思います。 なお、最後の逆転シーンも圧巻。こういうところがアメリカ映画は侮れません。 2012.07.14 |