「ノッティング・ヒルの恋人」を制作したR・カーティス、D・ケンワーシーのコンビによる作品。
当初のTV宣伝から、英国首相に扮するヒュー・グラントが恋をめぐって米国大統領にしっぺ返しをしたりする等のラブ・コメディと思っていましたが、内容はだいぶ違っていました。
本作品のコンセプトは、世の中には愛がいっぱいある、ということのようです。恋人間の愛、夫婦間の愛、親子の愛、姉弟間の愛、等々。本映画は特定のラブ・ストーリィを描くのではなく、世間にある愛を幾つも並行して描いています。クリスマス直前のロンドンを舞台に、総勢19人の愛情模様。
独身の英国首相と公邸配膳係のナタリー、小説家とポルトガル人の家政婦オーレリア、父親と義理の息子、その10歳のサムの恋、老ロック歌手とそのマネージャー、等々。
決してハッピーエンドばかりではありません。長年連れ添った夫婦間に生じた亀裂、想い続けていた相手との恋が実るかと思えば足枷のため進展しない、という陰もあります。
総じて言うと、本作品は楽しい映画です。
軽やかでいろいろなストーリィが楽しめるからと言えますが、それ以上に出演者の顔ぶれが魅力です。ヒュー・グラント、コリン・ファース、エマ・トンプソン、キーラ・ナイトレイ、...。
ヒュー・グラントが演じる英国首相ディヴィッド、コリン・ファースが演じる小説家ジェイミーの恋模様は対照的。据え膳を食らう観のあるヒュー・グラントに対して、コリン・ファースの果敢な行動の方に私は軍配を上げますが、一般的にはどうなのでしょうか。
もうひとつ、トーマス・サングスター演じるサムが空港内を駆け抜ける、ちょっと「卒業」を連想させる場面も爽快。
2004.06.26
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