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真面目で仕事もできるけれど、退屈でつまらないと言われている男、ピニョンが主人公。妻には離婚され、一人息子にも愛想をつかされている境遇。
そのピニョンが、会社の人員整理で、真っ先に首にされることになってしまいます。人事部長でラグビー部の監督であるサイティニに嫌われているのも、その理由らしい。
そんな彼に、アパートの隣人となった老人・ベロンが対策を授けます。それは、ゲイの振りをしろということ。
ゲイの証拠となる合成写真を送りつけられた会社の幹部は大慌て。同性愛者差別で抗議されるのは御免とばかりに、ピニョンの解雇は撤回されます。
さて、それからが問題。
批難の矢面に立たされたサイティニは、ピニョンの気遣う余り精神的に不安定になる。一方、ピニョンの上司である美人部長のベルトランは、真相を探ろうとしてかえってセクハラ抗議を受けることになります。
アメリカ映画のようなドタバタ・コメディにならず、シリアスなコメディ、シニカルなパロディとなるのは、フランス映画らしいところ。
ピニョンの対比において描かれる、女性らしいしたたかさを見せるベルトラン、過剰反応し過ぎのサイティニと、この２人の様子はなかなかの見ものです。
ともあれ、ひと騒動のおかげで一皮向け、人生の楽しさを見出したたピニョン。大人向けのコメディと言えるでしょう。
2003.06.15
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