“ドリーム” ★★☆
Hidden Figures
(2016年アメリカ映画)

監督:セオドア・メルフィ
原作:マーゴット・リー・シェッタリー
脚本:アリソン・シュローダー、セオドア・メルフィ

出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケヴィン・コスナー、キルステン・ダンスト、ジム・パーソンズ



宇宙への進出に関し、ソ連と熾烈な競争を繰り広げていた、1960年代初頭のNASAを舞台にしたドラマ。

当時のNASAでまだ、黒人差別が平気で、かつ当然のことごとく行われていた時代から、初期の米国宇宙開発計画を陰で支えた3人の黒人女性数学者の知られざる奮闘を描いた作品。

何よりもその黒人差別の酷さに衝撃を受けます。
どんなに高い能力を持っていようとも、最初から下請け仕事の担当者程度にしか評価されず、昇進も昇給からも遠ざけられている。
それにもまして憤怒を覚えざるを得ないのは、トイレが区別され、主人公の一人であるキャサリンは、わざわざ 800m も離れた非白人用トイレまで、豪雨の中でさえも往復させらていたこと。
このトイレに関する差別に衝撃を覚えたのは、エマ・ストーン主演、オクタヴィア・スペンサー助演による「ヘルプ」が最初でした。
そんなことまで差別し、苦痛を味わわせているのですから、人種差別とは酷いものです。
また、後半、キルステン・ダンストが口にする「私に偏見はない」という言葉に対して、3人の中で先輩格のドロシーが応じた言葉が印象的です。

偏見や差別、それを当たり前のこととして、それに何の疑問も心の痛みを持たないこと、それが恐いことだと思います。
前例がない、と言ってもそれは単に今までのこと、新しく始めればそれはもう前例になります。

自分たちの能力を信じ、差別を受け続ける黒人たちの先頭に立って、静かに戦い続けた3人の女性たちの姿には、深い尊敬を覚えます。

スリルと感動の両方を味わる作品、是非お薦めです。

2019.08.26


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