“電話で抱きしめて”(2000年アメリカ映画) ★★
Hanging Up

原作:デリア・エフロン  
脚本:デリア・エフロン、ノーラ・エフロン
監督:ダイアン・キートン 
制作総指揮:ノーラ・エフロン
主演:メグ・ライアン、ダイアン・キートン、リサ・クードロー、ウォルター・マッソー

 

ボケて入院した父親と、3人姉妹の物語。父親役のウォルター・マッソーは今さら言うまでもない曲者役者ですが、相当に老いたなあという感じ。みどころは、ダイアン・キートンとリサ・クードロー、そして勿論メグ・ライアンという3女優が競演する、3人姉妹の葛藤にあります。
元々人騒がせな父親がボケてくると、これまで以上に周囲は彼に振り回されます。その迷惑をひとりで背負ってしまったのが、次女のメグ・ライアン演じるイヴ。長女ジョージアナ(ダイアン・キートン)は、雑誌発行者兼編集者という流行の最先端をいく有名人。3女マディ(リサ・クードロー)は一応女優で連続ドラマに出演中。そんな訳でイヴ一人が父親の面倒をみる羽目になっているのですが、彼女にしても夫・息子があり、働く主婦なのです。ところが、年中電話に追い回される生活で、失敗も多い。
携帯電話は便利ですが、行き過ぎると持っている人間を追い詰めてしまうところがあります。イヴはまさにそんな感じで、このままいったらキレルのは間違いなし!というところで、「たまには回線を切ったら」というアドバイスが入ります。
その後は、姉妹3人が一堂に会する場面となり、長女の身勝手さに真っ先にイブが怒り出し、3人の口喧嘩が始まります。その場面が本作品の圧巻!
この作品はどちらかというと玄人好みで、コメディとは異なる為ちょっと捉え難いところがあります。ところが、エフロン監督の一連の作品の延長としてみると、違ったものが見えてきます。
「ユー・ガット・メール」では、電子メールという現代的なものの効能を題材にしたロマンスでしたが、本作品は逆に携帯電話の弊害を題材にしています。
つまり、電話は、つい自分の都合、主張ばかりを相手に押し付けてしまいがち。そんな繰り返しを経て、ジョージアナ、イブ、マディの3人が顔を突き合わせると、初めてお互いの不満、文句を相手に真っ直ぐぶつけ、喧嘩もできる訳です。やっぱり本当に交流する為には、顔と顔を突き合せないと。
私は判りませんが、3人姉妹というとたいていこんな力関係になるのではないでしょうか。そんなどこにでもいる主人公を演じるのに、メグ・ライアンはぴったりの女優。その意味で、メグ・ライアンらしい作品のひとつです。

2001.07.07

 ※“電話で抱きしめてby Sony Pictures Online

 


  

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