“グッバイ、レーニン!” ★★
GOOD BYE LENIN!
(2003年ドイツ映画)

監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、チュルバン・ハマートヴァ、マリア・シモン

 

1989年のベルリンの壁崩壊、東西ドイツ統一の時代を背景にした作品。
主人公アレックスの母・クリスティアーネは、夫が西側に亡命した後、一層祖国に忠実となって2人の子供を育ててきた。
そのアレックスが改革を求めるデモに参加しているのを目撃したクリスティアーネは心臓発作を起こして倒れ、そのまま意識不明となる。
クリスティアーネが意識を取り戻したのは、倒れてから8ヶ月後だったが、その間にベルリンは崩壊し、東ドイツは西ドイツに吸収される形でドイツ統一がなされた。
目覚めた母親にショックを与えるのは危険と医者に言われたアレックスは、母親の目から東ドイツ崩壊の事実を隠そうと、姉夫婦や恋人、友人らの協力を奮闘することになります。

そこまでするかという思いと共に、そんなことで誤魔化し通せるかという、呆れる思いもしますが、アレックスの真剣さにはいろいろと考えさせられざるを得ない。
アレックスが東ベルリンの以前どおりの姿を維持しようとした胸の中には、母親のためというだけでなく、アレックス自身の願いもきっとあったのだろうと感じるのです。
企業合併に例えれば、存続会社の社員は“統合”だとはしゃげるかもしれませんが、消滅会社の社員としては“吸収”されるという悲哀を強く抱かざるを得ません。
本作品からは、やっと手に入れた自由の一方で、これまでの価値観を崩壊させら
れた被吸収側の哀切が感じられます。

※本作品は、ベルリン映画祭における最優秀ヨーロッパ映画賞(嘆きの天使賞)とともに、ドイツ・アカデミー賞最優秀主演男優賞(ダニエル・ブリュール)を受賞。

 
2004.12.12

     


  

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