1945年 4月、第二次世界大戦下のヨーロッパが舞台。
ノルマンディー上陸作戦以後、ドイツ軍を徐々に追いつめている連合軍の中、シャーマン戦車“フューリー号”に乗り込む米軍兵士5人が主人公。
アフリカ戦線、ヨーロッパ戦線と生き延びてきたドン・コリアー軍曹と彼が率いるフューリー号に乗り込む兵士3人の元に、戦死した副操縦士の代わりとして新米兵士ノーマンが配属されます。従軍前はタイピストだったというノーマン、経験する戦争の過酷さにすぐ恐れおののきます。
過酷な試練を経てノーマンがようやく直面し兵士らしい顔つきになったちょうどその頃、フューリー号ら戦車部隊に、前進してくるドイツ軍部隊を友軍を守るため「十字路」で食い止めて欲しいという命令が下されます。しかし、その十字路に辿り着いた戦車は僅かフューリー号1台のみ・・・・。
リアルな戦闘シーンには圧倒されるばかり。
戦争に勝ちか負けかという区別はあっても、現実の戦場にいる兵士にとってはただ生か死しかないという現実が胸に迫ります。
それは戦場にいる兵士ばかりではありません。戦場にされた町の住民の命も、どんなに軽く散らされてしまうことか。通りがかりの老人、ノーマンと淡い恋心で結ばれたドイツ人娘・・・。
戦場に向かうドンが「直に戦争は終わる。しかし、それまでにどれだけ大勢の兵士が死ぬことか」という言葉がそれを象徴しています。
過酷な状況を前にして崩れ落ちそうになっている気持ちを懸命に建て直そうとする姿、傍若無人に振る舞う部下を冷静に律しようとする姿・・・。
地味な作品と言えますが、観終わった後、様々なシーンを思い返す度に、感じるところは深くなっていきます。
世界的な戦争は、第二次大戦の終了により終わったという認識が一般的だと思いますが、戦争自体が無くなった訳ではありません。その事実を直視しないことには、本作品を観た意味はない、ということなのではないか。
2014.12.07
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