フライト★★
Flight
(2013年アメリカ映画)

監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ジョン・ゲイティンズ

出演:デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、ジョン・グッドマン、タマラ・チュニー、ナディーン・ヴェラスケス

 

飛行中の旅客機が突然制御不能に陥り、急降下。機長のウィトカーは旅客機を背面飛行させるという驚異的な操縦により機体の滑空を取戻し、奇跡的に僅かな犠牲だけで多くの乗客の命を救った。
一躍国民的ヒーローになったウィトカーでしたが、その身体からアルコールが検出されます。状況は急転、ウィトカーには終身刑という刑罰の畏れが発生します。その危機にウィトカーはどう行動するのか。

旅客機事故、驚異の背面飛行、機長への疑惑と、旅客機事故を巡る航空機サスペンスかと思いきや、実はひとりのアル中男を巡るストーリィ。
予告編の謳い方に異議あり、と正直言いたいところです。

ウィトカー、追求を恐れて逃げ回ります。自分だからこそ大勢の乗客を救えたのに、事故と関係ないことで何故責任を追及されなくてはならないのかと。実はその裏に、自分がアル中であると断定されることの恐れがあります。
しかしことは飛行機事故。公聴会での審問からウィトカーは逃げ出すことはできません。旅客機事故という舞台設定はそこに意味があったのかと思う次第。
逃げることのストレスからさらに酒に逃げる。まさに悪循環というところ。

その悪循環から果たしてウィトカーは抜け出すことができるのか、ウィトカーは刑事罰から逃れることができるのか、ウィトカーにとって何が最善の道なのか。
本書はそうしたストーリィ。
途中薬物中毒の女性アメリアとウィトカーの同棲生活が描かれます。二度と薬に嵌りたくないと恐れるアメリアは、ウィトカーと同じ状況にあると言えますが、2人の行動が同一となるかどうかはまた別のこと。

救いようのないアル中男ウィトカー役のデンゼル・ワシントン、円熟の演技を見せてくれますが、「デンジャラス・ラン」の衝撃度には及ばず、まずまずの作品だったという印象に留まりました。

2013.03.02

       


  

to 映画note Top     to 最近の映画 Index