“エルヴィス ★★☆
Elvis
(2022年アメリカ映画)

監督:バズ・ラーマン
脚本:バズ・ラーマン、サム・ブロメル、クレイグ・ピアース、ジェレミー・ドネル
出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング、ヘレン・トムソン

 

“キング・オブ・ロックンロール”と称され、「世界史上最も売れたソロ・アーティスト」とも謳われながら、とても幸せとは思えない中、42歳の若さで逝ったエルヴィス・プレスリーの伝記映画。
ただし、単に伝記映画というだけでは済まされないのは、エルヴィスのマネージャーをずっと務めたトム・パーカー大佐という人物との関わりという暗部が描かれているからです。

エルヴィス・プレスリー、私はファンです。
彼の歌も、歌声も、パフォーマンスにも魅了されます。
代表曲はひととおり聞いていますし、彼が主演した数多くの音楽映画も観ていますし、彼のツアーを撮った「エルヴィス・オン・ステージ」(1970年)、「エルヴィス・オン・ツアー」(1972年)も観ています。

そんなエルヴィスの活動の背後で、トム・パーカー大佐という人物にいいように動かされ、収入の50%をむしり取られていたとは、ショックです。
しかし、才能のあるアーティストの周りには、そこに取り付いて金を儲けようとする悪質な輩が現れがちなもの。エルヴィスにしても、それは例外ではなかったということかもしれません。
そのトム・パーカー大佐を演じているのが、トム・ハンクス。これまでのトム・ハンクスよりかなり太って見えるのも、悪辣な人物を演じるための工夫なのかもしれません。でも本質的にはトム・ハンクス、悪役には向いていないように感じます。

ただそうした要素があったとしても、デビューした当時のエルヴィスの歌い方をめぐる騒動、それを超えるエルヴィスの存在感、ラスベガスのホテルにおける圧巻のパフォーマンスと、格別な存在としてのエルヴィス・プレスリーの再現を観れたことは素直に嬉しい。

主演のオースティン・バトラー、本物に比べると少し細身という印象ですが、エルヴィスの姿を遺憾なく再現していて、これもまた圧巻です。
ファンとしては嬉しい、 2時間40分の観応えのある映画に仕上がっています。
拍手です。

2022.07.01

       


  

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