“君と歩く世界” ★★ 監督:ジャック・オーディアール |
フランス映画というのはアメリカ映画と違って単純ではないんですよねぇ。
貧しい男アリは他に当てなく、5歳の息子サムを連れて姉の元に転がり込む。 一方、シャチの調教師であるステファニーはショーの最中の事故で両脚を失う。 その2人が織りなすストーリィ。 両脚を失った女性が再び人生に向かった歩み出す感動ストーリィ、そして貧乏な男が格闘競技で金を稼ぎながら息子と共に踏み出す感動ストーリィ、と言って済むならこんな簡単なことはないのですが、そうではないところが本作品の手強いところ。 ステファニーが両脚を失ったことに何のこだわりもせずに接してくる辺り、ステファニーにとってアリは気楽に付き合える相手だったのですが、その一方でアリは相手かまわずセックスと格闘競技にしか興味のない風。 ステファニーが両脚を失ったこと悲劇など、後半ではもう吹き飛んでしまっているのです。それでも、ステファニーが義足をつけて歩き出し、怪我を乗り越えたらしいところは事実として描かれています。 要は、世の中には代替が利くもの(両脚)とかけがえのないもの(息子)があり、人生は決して巻き戻しが利かないものである、ということを2人の姿から描いた作品であるように感じます。 スキッと感動とはいかないところが、如何にもフランス映画らしい。 2013.04.07 |