先日開催された第75回カンヌ国際映画祭で、主演のソン・ガンホが主演男優賞を受賞したことで注目された映画。
題材は、何らかの理由で子どもを育てられない親から子どもを引き取る仕組みである“赤ちゃんポスト”。
観終わった後、何やら複雑な思いでした。
面白いと言えば良いのか、感動したと言うべきなのか。感じた思いをそう簡単に決めつけてはいけないような気がします。複雑、と思う気持ちのままで良いのではないか、という作品。
さてストーリィ。
古びたクリーニング店を営むサンヒョンは借金に追われていて、“赤ちゃんポスト”の運営施設で働く青年ドンスと組み、ポストに入れられた赤ん坊を盗み出しては子どもを欲しがっている夫婦に引き渡して多額の謝礼を受け取るという違法な商売をしていた。
新たに捨てられた赤ちゃんを手に入れ、またしてもどこかの夫婦に売ろうとしていたところ、その赤ん坊ウソンを捨てた母親ソヨンが2人の前に現れ、赤ん坊を引き渡す相手を探す旅に同行することになります。
そしてその彼らを、児童売買の現場を取り押さえようとする女性刑事2人が、追っていくという展開。
サンヒョン、ドンス、ソヨンと、それぞれ一口にいえない事情、思いを抱えて生きてきたことが徐々に明らかになっていきます。そしてさらに、3人の奇妙な旅に孤児の少年が加わり、やがて4人の間には疑似家族のような雰囲気が生まれていく。
そして彼らを追う女性刑事には、彼らを見守るような雰囲気が・・・。
もし、出会う順番が違っていたら、4人は幸せな家族になれたかもしれない、そんな思いがします。
最後、4人がそれぞれ新しい道を歩んでいることを祈るばかりですが、それ以上に赤ん坊だったウソンが幸せに育っていることが何より大事なこと、と思います。
2022.06.30
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