“ベッカムに恋して” ★★★
Bend it like Beckham
(2002年イギリス映画)

監督・脚本・制作:グリンダ・チャーダ
出演:バーミンダ・ナーグラ、キーラ・ナイトレイ

 

サッカー好きな女の子の話。
女の子のくせにサッカーなんて、というだけなら大した話にはならないのですが、主人公ジェス(ジェスミンダ)がインド人の女の子であるところが本作品のミソ。
インド娘であるからには、常に女性らしく、家事ができてこそ一人前、ましてや人前で肌をさらすなんてとんでもない、という具合。
公園で知り合ったイギリス娘・ジュールズ(ジュリエット)に誘われ、監督ジョーの率いる女子サッカーチームに入ったことから、ジェスは楽しさいっぱい、ただし両親には内緒でということになります。

大事なことは、自分のやりたい道を選ぶこと。何が幸せかは人それぞれであって、あとになって後悔するようなことがあってはいけない、ということ。
その辺り、きちんきちんとステップを踏んでいく展開が正統的で、気持ち良い。

主人公ジェスを演じるバーミンダ・ナーグラの表情が何とも楽しい。
英米系にはちょっとない、媚びらない表情といったら良いでしょうか。眉毛の動きによる表情の豊かさに、思わず見とれてしまいます。女の子と若い娘の中間的な年代を見事に演じ、若い女の子の成長物語、恋愛物語としても手応えあるストーリィになっています。
ジェスと姉のピンキーとの対比、保守的なジェスの母親と、早とちりのジュールズの母親との対比も良い味をみせています。
また、インド家庭の結婚式風景、歌・踊りも充分楽しませてくれますし、そのうえで結婚式とサッカー決勝戦の対比もありと、構成もお見事。
サッカー場面はちょっと物足りませんが、トム・ジョーンズの歌や「サウンド・オブ・ニュージック」のナンバー等を遠慮なく挿入し、迫力不足をリズミカルな楽しさで充分補っています。
私の好みの作品。こうした映画が観られるからこそ、止められません。

 
※2002年FIFA会長賞、ロカルノ国際映画祭観客賞、ボルドー映画祭観客賞・審査員特別賞・最優秀女優賞、シドニー映画祭観客賞、マラケシュ映画祭審査員特別賞、ディーナル英国映画祭観客賞を受賞

2003.11.24

    


  

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