“バビロン ★★☆
Babylon
(2022年アメリカ映画)

監督:デイミアン・チャゼル
脚本:デイミアン・チャゼル
出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、トビー・マグワイア

 

1920年代のハリウッドが舞台。
サイレント時代の隆盛、サイレントからトーキーへの変革という激動を描き、最後までを俯瞰的に見ると大衆娯楽としての映画の存在、映画の歴史をも語り上げた、という印象です。

主な主人公は3人。
サイレント映画の大スター=ジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)、サイレント映画時代の最後に彗星の如く現れた新人女優=ネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)と映画製作に夢を抱くメキシコ移民の青年=マニー・トレス(ディエゴ・カルバ)。
冒頭は、野外での映画撮影の苦労、そして夜通しの狂乱と言っていい豪華パーティの様子が描かれます。前者は、映画好きとしては面白い限り。

やがて映画製作がトーキーへと移行していくと、ジャック、ネリーともうまく対応できない。一方、逆にマニーはチャンスを掴みます。
しかし、ネリーに恋情を抱き続けるマニーは、ネリーが抱えたトラブルに巻き込まれ・・・。
なお、サブ的ですが、トランペット奏者シドニー・パーマーの歩みを描いた部分も見逃せません。

全編、ミュージカルの名作「雨に唄えば」への意識、オマージュがあるように感じます(「雨に唄えば」も、サイレントからトーキーへの移行期をコミカルかつ陽気に描いた作品)。
また、「ザッツ・エンターテイメント」を観ている方なら分かると思いますが、上記作品前、大勢がレインコートを着て雨の中で「雨に唄えば」を歌う映画撮影シーンも描かれていて楽しい。

映画全盛期時代のハリウッドの歴史変遷を観る面白さもありましたが、全編に漲る熱気こそ観応えあり。
ブラッド・ピットは安定した演技したが、マーゴット・ロビーの熱演が素晴らしい、圧巻です。

なお、本作はゴールデン・グローブ賞にて作品賞や演技賞等主要5部門にノミネートされているそうですが、まさに相応しい力作だと思います。お薦め。

2023.02.12

       


  

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