“アラバマ物語” ★★☆
To Kill a Mockingbird
(1962年アメリカ映画)

監督:ロバート・マリガン
原作:ハーパー・リー
脚本:ホートン・フート

脚本:フランク・バトラー、フランク・キャヴェット
出演:グレゴリー・ペック、メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード、ジョン・メグナ、ブロック・ピータース、ロバート・デュバル

  

名作として評価の高い本作品、図書館からDVDを借りて観ました。

不況時期の1932年、南部アラバマ州。
妻が病気で亡くなり、幼い息子と娘を抱える弁護士のアティカス・フィンチは、保安官から頼まれ、白人娘をレイプした罪で訴えられた黒人青年トムの弁護を引き受けます。
黒人に対する差別意識の強かった時代、黒人の弁護を引き受けただけでフィンチに対する批判も行われ、それは息子や娘たちにも影響します。
しかし、フィンチは“法の下の公正”を訴え、それを貫こうとします。

本作が優れているなぁと思うのは、フィンチの視点より、息子のジェムと娘のスカウトという子どもたちの視点から描かれている処。
子どもたちの目から見て、父親の行動はどう映るのか。
ビルの裁判にも子どもたちは潜り込み、法廷での父親の弁護を見守ります。
地味な人柄であっても正しさを貫こうとするフィンチの姿は、頼もしく、信頼に値する父親像。子どもたちの将来にも大きな影響をもたらすものと感じられます。

さて裁判、グレゴリー・ペックが演じるのは勇気をもって黒人の弁護を引き受けた弁護士の役とは知っていましたが、こういう結末になるとまでは知りませんでした。
主演のグレゴリー・ペックは本作でアカデミー主演男優賞を受賞していますが、まさに相応しい演技です。

ストーリィの最後で、子どもたちの関心を引いていた近所に住む精神異常者ブーと子どもたちの邂逅が描かれます。
偏見をもつことの誤りを強く印象付ける場面になっています。
 お薦め!

※なお、現代から見ればこんな裁判のやり方・陪審員で本当に正しい裁判を行うのが可能なのかと怖くなりますが、当時はそれが当たり前だったのでしょう。

2012.04.10

amazon.co.jp

    


 

to 映画note Top     to クラシック映画 Index