“略奪された7人の花嫁” ★★★
SEVEN BRIDES FOR SEVEN BROTHERS
(1954年アメリカ映画)

制作:ジャック・カミングス
監督:スタンリー・ドーネン
原作:スティーブ・ビンセント・ベネット

主演:ハワード・キール、ジェーン・パウエル、ラス・タンブリー

 

今更言うまでもなく、ミュージカル映画の名作のひとつ。
この作品、“ザッツ・エンターテイメント”等でダンス・シーンは何度も見ているものの、きちんと観たのはTVロードショーで観た1回だけ。となれば、レンタルショップで見かけて手が伸びるのは、もう当然というものです。

ミュージカルには珍しく、アメリカ西部の開拓地を舞台にしていることが、まず特徴。
そして、圧巻と言うべき名場面が、納屋新築のお祝いにおける、躍動感と野性味に溢れたダンス・シーン。他のミュージカルでは絶対に味わえないこのダンス・シーンは、何度繰り返し見ようと飽きることはあり得ない、と言いたい程のミュージカルの名シーンです。

ストーリィは、山奥に住む7人兄弟の話。長兄アダムが町に出てきた折、お互い一目惚れという具合に花嫁ミリーを連れて帰ります。
これに刺激されたのが、6人の弟たち。粗野そのものといった男どもだったのですが、嫂ミリーにすっかり手名付けられた末に、自分達も花嫁が欲しいと言い出す。町で催された納屋新築の祝の場で知り合った娘たちに各々惚れこみ、挙げ句の果て長兄アダムにそそのかされ、娘たちを攫って来てしまう、というストーリィ。
スピーディなダンスが繰り広げられるため、アダムとミリーの2人以外は、ダンサーが主体。6人の弟たち、その相手となる娘たち。
と思いきや、ダンス・シーンを見ていると、どうも人数が欠けているような気がします。それもその筈、弟たちの一人はダンサーではなく俳優であり、ダンスシーンには参加していなかったのです。これ、付属の解説で初めて判ったこと。
ミリー役のジェーン・パウエル、アダム役のハワード・キールが突出することなく、弟たち、娘たちも一体になって成り立っているミュージカルである点も、この作品の魅力の一つです。
6人の弟役たちの中でも、特筆すべきは末弟ギデオン役のラス・タンブリン。その曲芸もどきのダンスには、惚れ惚れさせられます。

突然6人の粗野な弟たちをもったミリーの奮闘ぶり、娘たちを略奪するというストーリィも面白いうえに、町の娘たちのダンス相手になろうと弟たちが町の若者たちとダンスで競い合う名シーンあり。
忘れ難い、ミュージカル映画の傑作です。

2003.12.28

 


 

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