シャーロット・ブロンテの名作「ジェーン・エア」の映画化。
映画化されたものは幾つもあるのでしょうけれど、観るとなるとやはり古くはあってもこのジェーン・フォンティンものを見逃せません。
1944年制作ということもあってモノクロ。その所為か、ロチェスター邸がことのほか陰気に思えます。したがって、ストーリィは「レベッカ」の如くサスペンス的な印象が強い。
原作の魅力は、少女の頃から独立不羈の強い精神の持ち主、ジェーン・エアという主人公像にあるのですが、映画ではとても時間的に足りず、充分に描かれているとはとても言い難い。
その点、まず原作を読んでから映画を観る方が望ましいと思います。
その不足分を補って余りあるのは、本来脇役である筈のロチェスター。奥深い苦しみを抱えたロチェスターを演じるオーソン・ウェルズには迫力、凄みがあってとても見応えがあります。
原作では不器量と言われるもののジェーン。フォンティンが演じるためそれがピンとこないジェーンより、この作品はオーソン・ウェルズ演じるロチェスターこそ見処でしょう。
なお、少女時代のジェーンを演じるのは、当時名子役と言われたマーガレット・オブライエン。冒頭の僅かな部分ですけれど、彼女の演じた少女ジェーンはお見事。大人になったジェーンより余っ程印象に残ります。
また、ジェーンのロークウッド学校時代の親友ヘレン役としてエリザベス・テーラーが出演しているのがとかく話題にされますが、それより脚本陣にオルダス・ハックスレイの名前がある方が私には興味深い。
2007.01.01 |