“イースター・パレード” ★★★
EASTER PARADE
(1948年アメリカ映画)

監督:チャールズ・ウォルターズ

原作:フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット
脚本:F・グッドリッチ、A・ハケット、シドニー・シェルダン
出演:フレッド・アステア、ジュディ・ガーランド、ピーター・ローフォード、アン・ミラー

 

主人公のダンサー(F・アステア)は、パートナーに去られた意地で、酒場の歌手(J・ガーランド)をダンサーに仕立て上げようとする。ダンスの基本も知らない彼女だったが、彼のコーチを得て、やがて二人は大評判を博する……。ダンスを通して語られるロマンスを描くミュージカル。

フレッド・アステアとジュディ・ガーランドが共演したMGMミュージカル名作のひとつ。
そもそもはドン役はジーン・ケリーの予定でしたが、ジーン・ケリーが足首を骨折してフレッド・アステアに主役が回り、その結果2年前に引退を表明していたフレッド:アステアの引退が撤回されることになったとのこと。さらに、ナディーン役も当初シド・チャリースの予定だったが、これまた怪我でアン・ミラーが変わりに選ばれたという、エピソードにも注目してしまう作品です。
ストーリィは次のとおり。人気ダンサーのドン・ヒューズ(アステア)は女性ダンサーのナディーン(アン・ミラー)を育て上げ今や名コンビとなるに至っていたのですが、そのナディーンが突然独立することにしたと言い出します。
怒ったドンは代わりとなるダンサーを育て上げ、ナディーンを見返してやろうと決意します。そのドンが白羽の矢を立てたのが、場末のクラブで踊っていたハンナ(ガーランド)。
ドンはナディーンを見返すためにハンナを利用しますが、いつしかハンナ自身の持ち味・魅力に気づき、最後はめでたくハンナと結ばれるというラブ・ロマンス。

ミュージカル作品としては奇手がなく、オーソドックスな仕上がりとなっています。とはいっても、アステアの見事な踊りを存分に味わえるところが本作品の素晴らしさ。
冒頭いろいろなドラムを使って繰り広げるダンスを皮切りに、見応えあるダンスシーンが次々と披露されますが、中でも忘れ難いのはスローモーションを利用したダンス・シーン。また、ドンとハンナがルンペンのペアに扮してコミカルに歌い踊る「二人の名士」と題打ったショー・シーンは、ジュディ・ガーランドの芸達者ぶりも発揮されて、これはもう楽しい限り!
それにしてもナディーン役のアン・ミラー、美人だし歌も踊りも一級のミュージカル・スターなのですが、何故かいつも脇役。個性という面で主役に成り切れないのでしょうか。
なお、ファンの尽きない夢ではありますが、ジーン・ケリーがドンを演じたらどんな「イースター・パレード」になったか見てみたい、といつも思ってしまうのです。

2006.01.10

  


 

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