あまり期待していなかったのですが、予想外に良い映画でした。観て良かった、のひと言です。
イズコ(柴咲コウ)に伴われ、タクシーで主人公の小川たまえ(のん)が旅館“天間荘”に到着するところからストーリィは始まります。
海辺の町を見下ろす高台にある天間荘。
しかし、この場所は現世ではなく、天国と現世の狭間にある世界。
現世で昏睡状態にある人物はここに辿り着き、滞在している間に天国へ行くか、現世へ戻るかを選択するのだとか。
ただ、今回ちょっと複雑なのは、天間荘の若女将=天間のぞみ(大島優子)と、その妹=かなえ(門脇麦)が、たまえの異母姉であるということ。
父親が妻(大女将の恵子、寺島しのぶ)と娘たちを置いて出奔し、別の女性との間に設けたのがたまえ、という次第。
そのたまえ、幼くして母親が病死、父親は失踪し、施設育ち。のぞみから異母姉妹だと言われ、たまえはびっくりします。
※のぞみ、かなえ、たまえ、という三姉妹の名前、どこかで聞いたようです。
じっとしてられない性格なのか、たまえは自ら希望して、天間荘の仲居として働きだします。
その天間荘には、長く滞在している曲者の老女客がおり、そしてたまえの後からは、若い女の子が到着しますが・・・。
のんの、素直な明るさ、というキャラクターが、何よりの魅力。
それにしても、のぞみ・かなえ姉妹や、この世界で暮らす人々は一体どういう存在なのか、それが不思議です。
初めは、たまえと異母姉たちとの、つかの間のファミリーストーリィに過ぎないと思っていたのですが、本作、驚いたことに、実は遥かに大きなストーリィに繋がっていました。
いろいろなことを考えさせられます。
人は亡くなったからといってその存在が消滅してしまう訳ではない。生きている人の心の中にいつまでも存在しているというメッセージは、心に残ります。
清涼感と希望を感じる作品でした。
なお、寺島しのぶの貫禄、迫力は流石。柴咲コウはこうした役柄が似合います。
原作は、高橋ツトムの人気コミック「スカイハイ」のスピンオフ作品、「天間荘の三姉妹−スカイハイ−」とのこと。
2022.11.03
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