“鈴木先生 1〜5” ★★☆
(2011年04〜06月TVドラマ)

演出:河合勇人、橋本光二郎、滝本憲吾
原作:武富健治(文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞)
脚本:古沢良太、岩下悠子
出演:長谷川博己(ひろき)、山口智充、田畑智子、でんでん、富田靖子、臼田あさ美、土屋太鳳(たお)、未来穂香(みきほのか)

 

半年ほど前、ゲストの方から是非にと勧められた作品。すぐに観ることはできませんでしたが、今回レンタルビデオショップで借りて観ました。全DVD5巻ですが、現時点で観終わったのは1巻と5巻のみ。
作品はテレビ東京系列で放映された連続ドラマですが、視聴率は思わしくなくて史上最低平均視聴率 2.16%を達成したのだとか。しかし作品自体の評価は高く、第49回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞を受賞。

さてストーリィはというと、中学校教師である鈴木先生が担当する2年A組の生徒たちの間に起きる様々な難問題を、決して逃げず、生徒たちに真正面から向かい合って生徒たちと一緒に解決するというあえて困難な道を選ぶパターンで繰り広げられる学園ドラマ。

いやー、冒頭から仰天しました。最初の章、何と中2の男子生徒がうちの娘と性関係を結んだと鈴木先生に抗議してきた母親の、その娘は小学4年生だというのですから。しかも親友の妹。
こんな問題をつきつけられたら一体どう解決したらいいのか、私だったら途方に暮れる気がします。しかし担任教師という立場となれば逃げる訳にはいかない。さぁどうする?と思っていたら、鈴木先生、迷い戸惑いながらも見事に解決するのですから、拍手喝采。それも当人である男子生徒を納得させたうえで。

本ドラマの特徴は、鈴木先生が生徒と同じ土俵に立って生徒と議論しながら問題解決の道を探っていこうとする点にあります。決して生徒に対して必要以上の高い位置に立とうとはしていないこと。
この姿勢、教師と生徒を描いた学園ドラマとして新しい段階に入ったという、新鮮な印象を受けました。
私が熱中して観ていた「青春とはなんだ(現東京都知事石原慎太郎原作)」、村野武範・中村雅俊が主演したその次世代ドラマは、教師に権威があったかどうかは別として教師が率先して行動するというスタイルでしたが、本ドラマの共に議論を深めていくという手法は新世代に入ったと私には感じさせるものでした。

本ドラマは中学校が舞台ですが、決して学校だからこそのドラマではなく、会社・職場においても共通する問題です。部下にきちんと説明し、納得させて仕事を命じることのできる上司がどれほど稀であることか。こうだからこうなんだ、いいから言われた通りにやれ、というパターンは私の身の回りでも多いです。ただし、会社は所詮大人同士、教師と生徒という関係の本ドラマの方がもっと問題解決は難しい気がします。
私もどちらかというと理屈っぽいというのは好きな方ですので、鈴木先生が担任クラスの2Aを舞台に実験を試みたいという姿勢、苦しい中どんな選択肢があるかと胸中で考えを巡らせる場面、生徒との間で議論を詰めていく場面、中々の魅力があります。
また、鈴木先生が私生活において恋人との仲を順々に深めていくサイド・ストーリィも、青年教師が主人公であるだけに相応しいもの。
そのおかげで最終巻、慕っていた担任教師が恋人とデキ婚をするという事実にショックを受けた女生徒が旗振り役となって、鈴木先生を裁判にかけるというストーリィ、まこと圧巻。
親としてはいろいろショッキングな内容を含んだドラマですが、その質の高さお見事。お薦めしたい作品です。

 
【目次】

 Lesson1:誰も正解を教えてくれない! それが学校

 Lesson2:14歳優等生の反乱! 給食廃止で教室炎上

 Lesson3:人気投票で熱血教師壊れる!

 Lesson4:恋の嵐!? 学級委員の自爆告白

 Lesson5:誰が好きだっていいじゃない

 Lesson6:課外授業・・・愛って何ですか?

 Lesson7:届かない心の叫び! 僕が犯した指導ミス

 Lesson8:夏祭りで事件勃発! 生徒にバレた秘密・・・

 Lesson9:デキ婚は罪か!? 生徒35名が教師を裁判!

 Lesson10:光射す未来へ! 教師の告白に涙の教室・・・

2012.06.24

 
   


  

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