“シン・ゴジラ” ★★
(2016年日本映画)

監督:庵野秀明
脚本:庵野秀明
出演:長谷川博巳、竹ノ内豊、石原さとみ、高良健吾、市川実日子、余貴美子、国村隼、平泉成、柄本明、大杉漣

  

日本のゴジラ映画最新作ですが、これまでゴジラ映画とはかなり異なる印象。
冒頭、正体不明の巨大生物上陸という想定外の出来事に、官邸は大わらわ。具体的にどういうことかというと、いろいろな名目の会議が開催され、その度に会議の部屋を変えるというところが笑えます。
でもこれは笑いごとではなく、現実に大災害が起きた時もこのようなことが行われるのではないかというリアリティがあります。
そうした処で気づいたのは、本作品はこれまでのような巨大怪獣対人類の闘いということではなく、日本という国が未曽有の災害に直面した際の危機対策能力を描いたものではないか、ということ。
主役と言うべき長谷川博巳演じる矢口蘭堂は、将来の首相を目指す若手政治家、現在は内閣官房副長官という役柄ですし。
各大臣の、官僚からのメモを読み上げるだけの姿に対し、ただ決断と責任を迫られるだけの総理大臣の姿には、日本国民として何やら心許ないものを感じさせられます。それに対し、そうした役割だからということもありますが、余貴美子演じる女性防衛大臣の攻撃開始を迫る姿が迫真をもって感じられました。

なお、肝心のゴジラに関しては、冒頭、これまでとは違った姿で登場するために面喰った観があります。その後いつものゴジラ姿に変貌していくのですが、気になったのはその目。これまでのゴジラには生き物といった目の動きが感じられたのですが、本作ゴジラはまるで死んだ魚のような目というか、絵に描いただけの目という感じ。これは巨大怪獣対人類という闘い構図を弱めようとして意図的に行われたものなのでしょうか。

何はともあれ、ゴジラへの本格的な攻撃シーンはさすがに現代技術を凝らしており、観応え十分。また、攻撃方法もいろいろな工夫がなされており、その意外性も楽しめます。
なお、石原さとみが米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役で鼻持ちならない格好良さを存分に発揮しており、それも結構楽しめました。

※<ゴジラ映画歴>
1954年「ゴジラ」第1作、1955年「ゴジラの逆襲」(第2作)、1964年「モスラ対ゴジラ」(第4作)はTVのロードショーにて。映画館で観たのはキングギドラが登場した1964年「三大怪獣・地球最大の決戦」と、1966年「南海の大決闘」。その後は1984年の復活版、沢口靖子映画デビュー2作目となった「ゴジラ」(第16作目)だけ。
そう何度も観るようなものではなく、今でも第1作「ゴジラ」の、白黒画面故の恐怖感が忘れ難いです。

2016.08.07

            


  

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