“西の魔女が死んだ” ★☆
(2008年日本映画)

監督:長崎俊一
原作:梨木香歩
脚本:長崎俊一、矢沢由美
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう

 

梨木香歩作品の映画化という点に関心もありますが、もうひとつ興味をもったのが、主役である“西の魔女”=まいのおばあちゃんを演じるサチ・パーカーがシャーリー・マクレーンの娘であるということ。
ただし、この母娘、ほとんど似てませんから、結果的にはああ、そうか、という程度のこと。
この作品の出来を左右するのはおばあちゃんを演じる女優さんにあることは紛れもない事実。
その点でサチ・パーカーという人を得られたのは幸いであったと思います。

全体的にこのサチ・パーカーさんの印象を反映して、気品ある作品に仕上がっています。彼女の話す日本語はとてもきれいで格調高い。
映画の作りとしても、とても丁寧で、大切に作りあげたという印象。
また、舞台となるおばあちゃんの家の周囲の風景は緑多く、とても美しい。こんな緑に囲まれて住むのもいいもんだろうなぁ、と夢心地になってしまいます。

でも、逆にそれらの点により、見終わった後の印象度が弱くなってしまった気がします。
原作を読んでからもうだいぶ経ってしまっているので正確な比較はできませんが、原作の面白さは“魔女”というコンセプトにあったと思います。そして、おばあちゃんと孫であるまいとの心の通じ合いに愛おしさがあった。
映画では、サチ・パーカーという人が上品過ぎ、また自然の風景に目を奪われて、そうした原作の魅力が充分描かれずに終わってしまったように思います。

ちょっと残念、という気分が残りました。

2008.06.28

 
※原作 → 「
西の魔女が死んだ

         


  

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