30代過ぎたというのに、未だに兄弟ふたりで仲良く暮らし、一緒に遊んでいるという間宮兄弟を描いた作品。
親からすれば、兄弟いつまでも仲が良くて嬉しいことですが、同世代の傍からみれば、いつまでもいい歳して、と思われるのでしょう、きっと。
そんな間宮兄弟を見ているだけで楽しく、どこかホッとさせられるのがこのストーリィ。いつまでも大人になりきらない少年たちを見ているようなところはファンタジー(大人になりたくないと飛び出したピーター・パンを思い出します)的ですし、ポップコーンを食べながらTVの野球観戦を存分に楽しみ、一緒に紙飛行機を飛ばして喜ぶ2人からは日常生活におけるささやかな幸せという癒しを感じます。
兄・明信は、ビール会社の商品開発研究員。弟・徹信は小学校の校務員。
そんな2人がたまには女の子と付き合うきっかけをと、行きつけのビデオ店のバイト店員・本間直美を誘い、徹信は小学校の葛原依子先生を誘って、マンションでカレー・パーティを開く。
(この如何にもというようなカレー・パーティ、誘われたら行くんでしょうかねぇ、女性はフツー?)
しかし、2人が思ったようには展開しない。直美にはちゃんと恋人がいるし、葛原依子先生には不倫相手がいる。その一方で明信は会社同僚・大垣の不倫・離婚騒動に引きずり込まれ、徹信までそれに頭を突っ込むことになる。
直美も葛原頼子も大垣にしても、それぞれの恋愛ごとには悩み、不満あるいはトラブルがつきもの。それに対して間宮兄弟は真っ直ぐに過ぎ、純真過ぎる。これではなぁ、波乱万丈がなさ過ぎて恋愛に縁ができそうもないよなぁ。人は良いのですけれどと、どこかの断り文句みたい。
いつも弟、兄が近くにいてくれるという幸せを知っている2人には、ドップリと恋愛だからこそのドタバタに足を突っ込む必然性がない、という感じです。
それでもそんな間宮兄弟がいてくれることは、皆が幸せを感じることに繋がっている気がします。間宮兄弟みたいに、という直美の妹・夕美の一言は、2人を見る皆の共通する思いを語るものでしょう。
※なお、間宮兄弟の部屋の書棚は本好きにとって圧巻。こんな部屋があったら、結婚しなくていいのかも。
2006.12.30
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