“ラーゲリより愛を込めて ★★☆
(2022年日本映画) 

監督:瀬々敬久
原作:辺見じゅん
(「ラーゲリより来た遺書」)
脚本:林 民夫
出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕、朝加真由美、市毛良枝

  

アジア太平洋戦争の敗戦時、日本兵の人たちがソビエトの不法によるシベリア抑留という悲劇を味わったことは、今でも忘れ難い悲惨な出来事ですが、本作品はそのシベリア抑留を描いたもの。

長年にわたる過酷なシベリア抑留、労働に帰国の希望を失う人たちもいたが、そうした中、山本幡男(二宮和也)という人物が皆を励まし、希望を繋ぎ続けた事実を綴ったストーリィ。

フィクションかと思いましたが、山本幡男は実在の人物。
その感動の実話を執筆した辺見じゅんさんは、その著書で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞したそうです。本作品はその受賞作の映画化。

希望を失いかけた人、収容所にも軍隊の上下関係を持ち込んで平然としている人物、そうした中にあって分け隔てなく皆に希望を与え続けるというのは、どれだけの胆力、心の強さがあればできることなのでしょうか。
そして山本自身も、必ず帰ると約束して別れた妻モジミ(北川景子)と4人の子どもたちへの熱い想いを決して捨てることはなかった・・・。

映画を観ていての一番の関心毎は、山本幡男という人物が、妻子の元に戻れるのかどうか。それは最後まで分からず、ずっと旨が胸が締め付けられるような思いでした。
そして最後、あぁこういうことだったのか、と判りましたが、それから後はもう涙を抑えるのに苦労しました。
主演の二宮和也はじめ、北川景子、安田顕らが熱演。

戦争とは悲惨なものです。どれだけ多くの人を苦しめ、絶望に追いやることか。
当時のシベリア抑留というソビエト連邦の非道が、あれから80年近くも経った現在、再びロシア連邦によってウクライナの国、国民に対して繰り返されていることを思うと、ロシア軍には非道な振る舞いをして構わないというDNAが継承されているのではないかと思わざるを得ません。

※なお、ネットには、山本幡男に関する詳細な説明とその写真が掲載されているのですが、二宮和也さんと本当によく似ているのが印象的です。

2022.12.10

           


  

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