人気作家・朝井リョウのデビュー作の映画化。DVD観賞です。
高校を舞台にした青春ストーリィと言うには、かなりシリアス。
バレー部主将でカッコいい男子のリーダー的存在であった桐島が、突如バレー部を辞めたというニュースが広まり、いつもつるんでいた男子仲間たち、桐島と付き合っていた女子とその取り巻きたちに動揺が広がっていきます。そしてそれは気持ちの問題だけでなく、安定していた関係に微妙な亀裂を引き起こします。
何人もの高校生たちの微妙な心理状況を描き出して、秀逸な青春映画。
ただ原作、こんな印象だったかなぁと首をかしげる思いもあります。
原作を読んだ時には、“上”にいる生徒たちと“下”にいる生徒たちの対比を強く感じましたが、映画ではむしろ“上”にいる生徒たちが実は抱えていた空虚さが印象に残ります。
つまり、桐島とつるんでいた“かっこいい”筈の男子生徒たちが、実は桐島の存在感におんぶしていただけ、ということが桐島の存在が消えてしまったことから明らかになっていきます。
それに対し“下”の生徒たち、カッコ悪いと言われようが実は自分たちの方向をきちんと見据えていたと理解できるようになります。
原作に関係なく、学園青春映画として秀作。お薦めです。
2013.07.14
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