ウベルト・パゾリーニ監督による2「おみおくりの作法」(2013年)のリメイクだそうです。
主人公の牧本荘(阿部サダヲ)は、市役所で唯一人の<おみおくり係>。
仕事は何かというと、孤独死した人の埋葬なのですが、故人の思いを大事にするあまり、自費で葬儀をあげたり、身寄りの人が引き取りにくるかもしれないと遺骨を無縁墓地に収めず、自席周辺に積み重ねてしまっている。
新任市長からもっと事務的に処理すべきと断罪され、おみおくり係廃止が決定されます。
最後の埋葬者となる蕪木(宇崎竜童)という老人男性のため、牧本は蕪木とかつて仲間だった人物を訪ね歩き、アルバムに貼られていた写真からその娘=津森塔子(満島ひかり)の元へも出向くのですが・・・。
個人的に何の関係もない死者たちのために何でそこまで一生懸命になるのかが疑問ですが、牧本という人物、ちょっと正常ではない処があるのでしょう。
でも誠実で一生懸命であることは分かりますから、上司や刑事たちに見逃されてきたという案配。
だからコミカルな処があり、何度も笑ってしまうのですが、余りに孤独な牧本の私生活は切なく感じられます。
蕪木の葬儀がどうなるかは観てのお楽しみですが、そんな結末が待ち受けているとは・・・絶句。
しかし、イタリア映画であれば、そんな結末もあるだろうな、とは思います。
最後、霊園での様子、その対比が旨を胸を打ちます。
縁も所縁もない多くの人から感謝されること、牧本さんとしては、至福のことではなかったかと思えます。
観ようかどうか迷いましたが、観て良かったと思う作品です。
2022.10.02
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