立山連峰を望む山小屋を舞台にした家族ドラマ。
原作は笹本稜平さんの小説ということですが、私は未読。
立山連峰で山小屋“菫小屋”を営んでいた父親が、遭難者を助けようとして突然の事故死。
東京で金融トレーダー会社に勤務していた息子の長嶺亨は、ちょうど仕事に疑問を感じていたところということもあり、山小屋経営を継ぐことを決意します。
ところが山小屋の経営は過酷。なにしろ必要な食糧・日用資材を背負って山小屋まで運び上げるだけでも相当な苦労なのですから。そのうえ山小屋の経営者は、必然的に登山者の安全確保、遭難者の救助という使命も負うことになります。
山小屋経営に不慣れな亮を助け、力強く支えるのは、菫小屋で働いていたという若い女性=高澤愛の存在と、ふらりと訪れてきて当然の如く働き始めた多田悟郎という中年男。
それなりのドラマはありますが、格別なドラマはなし。地上生活からかけ離れた高い山の上での日常生活が、壮大な山岳風景を背後にして描かれていきます。
そんな光景が、愛ちゃんと皆から呼ばれ親しまれている女性の満面の笑顔とともに描かれているところが、何とも気持ち良い。
私は登山には無縁(※高校生の時一度だけ富士山登頂したことあり)で、多分これからも無縁のままでしょうけれど、こうした場所に立つことはさぞ気持ち良いだろうなぁという思いを画面から受け取ります。
観ていて気持ち良い映画は、それだけで観る価値十分にあり、です。
2014.06.22
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