“箱 男” ★★ 監督:石井岳龍 |
映像化が困難と言われ続けてきた、安部公房「箱男」の映画化。 主人公である“箱男”は、ダンボール箱を頭から腰まですっぽりとかぶり、街の片隅に座り込んであたかもただの捨てられた段ボールという体を装い、その覗き窓から外の世界を見て、こちら側こそ真実の世界と信じている。 流石に、見ていて何を描こうとしている作品なのか、分からず。ただ、観続けるうちに終盤、こういう物語なのではないかと何となくわかった気がします。 主要登場人物を演じる永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市といった面々はベテラン俳優であり、妄想に駆られている各人物たちをしっかり演じています。 難解な作品ですが、安部公房の作品世界に興味がある方にはお薦め。 ※ちなみに、本原作を私は未読。安部公房作品は50年前、受験の終わった高三の春休みに「砂の女」「他人の顔」「燃えつきた地図」の3作を読んでいますが、「砂の女」以外はもうまるで覚えておらず。「箱男」は「燃えつきた地図」の後に書かれた作品でした。 2024.08.26 |