爽快な面白さを味わうことのできる作品と言って良いでしょう。
その面白さの理由は、原作の良さというに尽きます。
そしてまた、原作自体が映画化に向いているストーリィであり、原作者である金城さん自身による脚本とくれば、もう言うことはありません。
ストーリィは、平凡なサラリーマン・鈴木一が主人公。
愛する妻と一人娘、マイホームを築いて幸せな生活を手に入れているといって良いでしょう。
ところが、その大切な娘が男子高校生に滅茶苦茶に顔を殴られ、病院に担ぎ込まれます。相手はインターハイ連続優勝の高校生ボクシングチャンピオン。主人公を抑え込むような圧力に恐怖を感じて何もできない。そのうえ、助けを求める娘の手を取ってやることも出来ない始末。娘は父親にすっかり心を閉ざしてしまう。
絶望の余り、復讐しようと包丁を持って高校に乗り込んだ主人公ですが、高校違い。その結果として、南方ら不思議な高校生たちと知り合うことになります。
そして、石原との決闘を目指し、朴舜臣の指導の下トレーニングを開始するというストーリィ。
原作の感想として既に書いたことですが、この作品の良さは、相手への復讐あるいは懲罰にあるのではなく、自分の可能性を広げること、恐怖心の克服、自分への自信という、成長ストーリィにあります。
本映画だけでも楽しめますが、本作品の良さをもっと味わうために是非原作を読んでいただきたい。
主人公と朴舜臣らとの間に生れた信頼関係、主人公と深夜のバス乗客たちとの一体感、世の中まだまだ捨てたものではないと思えて嬉しい。
2005.12.31
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