“ファミリア” ★★ 監督:成島 出 |
家族、そして移民問題を扱ったヒューマン・ドラマ。 主演は役所広司。正直な処、それがあって観に行ったようなものです。 役所広司演じる神谷誠治は陶芸職人、妻は既に亡くなっていて、一人暮らし。 そこにエンジニアリング会社に就職し、今はアルジェリアのプラント建設現場に赴任している息子の学が、妻となった難民孤児のナディアを連れて一時帰国します。そして、現在携わっている工事が完成したら会社を退職し、ここに戻って一緒に陶芸をやりたいと言う。 久しぶりの家族団欒に飛び込んできたのが、在日ブラジル人青年のマルコス。 怪我しているマルコスの手当を誠司らがしてあげたことから、誠司と在日ブラジル人たちとの間に繋がりが生まれます。 とくに誠司に親しみ慕うのが、マルコスとその幼馴染みであるエリカ。 リーマンショック後、在日ブラジル人たちの生活は厳しいと内情を打ち明けますが、マルコスたち、町を牛耳る半グレたちに何故か目の仇にされ、執拗に苦しめられているらしい。 しかし、その半グレのリーダーにはブラジル人たちを憎む理由があり・・・。 一方、アルジェリアの建設現場に戻った学とナディアらがテロ組織に襲われ、現場の作業員らとともに人質にされたという急報が飛び込み・・・。 家族を取り上げたドラマとのことですが、それ以上に国籍差別を取り扱ったドラマ、という印象を受けます。 主人公の誠司は、ナディアや日系ブラジル人たちをすんなり受け容れ、何の差別意識もないことが明らかです。 一方で、半グレのリーダーは、ブラジル人を一緒くたにして憎んでいますが、そもそもブラジル人を差別視しているからこそ、と感じます。 たしかに、育った国の習俗や行動ぶりの違いはあるでしょうけれど、それはお互い様。お互いに相手と近づこう、理解しようという気持ち、姿勢をもつことが大事なことと思います。 そうであってこそ、お互いに未来、希望を持つことができるでしょうから。 2023.01.07 |