手塚治虫原作の漫画「どろろ」の実写版映画化。
戦乱の世にある武将・醍醐景光は、力を得るために生まれてくる我が子の身体48箇所を魔物に差し出す。
両手足、目、耳、鼻等々48箇所を奪われて生まれた赤ん坊は捨てられて川に流される。しかし、その赤ん坊を拾った医師・寿海によって作り物の手足等々を与えられ、やがて育った百鬼丸は魔物を倒し、奪われた48箇所の身体を取り戻すための旅に出る、というストーリィ。 題名の「どろろ」とは、百鬼丸のもつ不思議な刀を奪い取ろうと、百鬼丸について旅するコソ泥の名前。
手塚治虫原作の「どろろ」は私の子供の頃に連載された漫画ですので、私の同年代はともかく、知っている人はどの程度いるのですかねぇ。
主人公は百鬼丸なのに何故「どろろ」という題名なのかというと、確か手塚さんはどろろを主人公にしたもっと長大な物語を構想していた筈で、その最初が百鬼丸の物語だったと思いました。最後どうなったかは私も覚えてないのですが、百鬼丸の後の物語は結局書かれないままだったと思います。
ちょうどドストエフスキー「カラマゾフの兄弟」と同じようなものでしょうか(長大なアリョーシャの物語となる筈が、最初の「カラマゾフ」しか書かれなかった)。
本映画を一言で表すなら、マカロニ・ウエスタン風特撮妖怪もの時代劇、というところでしょうか。手塚治虫原作にそんな雰囲気はなかったなぁ。
本作品のみどころとすれば、柴咲コウがどろろを演じているところでしょう。本来美人系の女優でまだ若いのによくまぁ、こんな役柄までこなすものだと、感心します。
男の子であるどろろ役を女優に演じさせたところに妙があるのだろうと思っていましたが、観ている途中で思い出しました。原作でも男の子と思っていたどろろが、最後の方で実は女の子であると明かされたのだった、と。
原作ファンで余程実写化版を観たいのでなければ、観る必要はないと思った映画です。
2007.08.05
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