先日、歌舞伎座へ初めて歌舞伎を観に行き、今度はシネマ歌舞伎という方向から見てみようと観に行った次第。
シネマ歌舞伎とは何ぞや?というと、舞台公演をそのまま映像化したものなのですが、役者の表情、所作の細かいところが判るのがミソ、という。
思った以上に面白かったです。
演目もまた良い。歌舞伎にあまりなじみのない人でも楽しめるように、変身ものという趣向に、コメディ。
歌舞伎らしい音曲、踊りもあって、歌舞伎の原点を一通り楽しめる、といった作品でした。
このシネマ歌舞伎を見て、舞台の歌舞伎を見てみたいと思う人もきっとあると思うので、歌舞伎の観客層を広げるための試みとしては良いことだと思います。
ただ、シネコンの観客、それほど多くはありませんでしたが。
【蜘蛛の拍子舞】・・・2009年10月歌舞伎座公演
源頼光と家臣四天王たちによる妖怪土蜘蛛退治を題材にした古典作品。
女郎蜘蛛の精を演じる坂東玉三郎と、源頼光を演じる尾上菊之助、家臣を演じる尾上松緑との掛け合いが楽しい。
また、美女転じて正体を現した後の、女郎蜘蛛の化け物らしい化粧、衣装をまとった玉三郎が見応えたっぷり。
あの坂東玉三郎がこうした表情も演じるのか、という処が一番の面白さでした。
【身替座禅】・・・2009年12月歌舞伎座公演
東国から京に上ってきた愛人=花子に会いたい大名の山蔭右京が、纏わりついて離れない妻=玉の井から逃れるため、一晩座禅を行うと称し、太郎冠者を身替りに立てて愛人の元へ出向くが・・・・、というストーリィ。
右京を演じる勘三郎、玉の井を演じる三津五郎、太郎冠者を演じる染五郎と、それぞれの掛け合いが楽しい。 坂東巳之助、坂東新悟が演じる2人の腰元も、それなりに楽しさを引き立てています。
何といっても魅力なのは、勘三郎のくすぐるような表情が大写しでたっぷり楽しめるところ。これはシネマ歌舞伎こその魅力というべきでしょう。
勘三郎ファンの私としては、これこそ嬉しい。
2010.05.15
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