湯谷昇羊(ゆたに・しょうよう)著作のページ


1952年鳥取県生、法政大学経済学部卒。86年ダイヤモンド社入社、以後金融界を主な取材対象として活動。「週刊ダイヤモンド」編集長、取締役を経て2008年退社、フリーの経済ジャーナリスト。

 


     

●「「できません」と云うな−オムロン創業者 立石一真−」● ★★☆




2008年11月
ダイヤモンド社

2011年04月
新潮文庫刊
(590円+税)



2011/04/30



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京都の小さな工場から一代で会社を大企業グループにまで育て上げた、オムロン(旧社名:立石電機)の創業者=立石一真の評伝。

オムロンというと、私がイメージするのも銀行のATMや血圧計ぐらいで、パナソニックやソニーに比べて今一つ知名度が低いと思うのですが、それは主製品が企業向けであり、一般消費者向けではないことが理由のようです。
現代社会に今では欠かせない、駅の自動改札、交通信号システム、銀行のCD・ATM等皆、オムロンが開発し生み出したものだと聞いて、驚いたというのが正直なところ。
小さな工場から出発した独立系の一企業が、そうした革新的な技術を次々と開発し実現していったということは、凄いことだと思います。

それらのことを熱意溢れる社員の存在なくしては語れないことは事実でしょうけれど、やはり見事なのは創業者である立石一真という人物の見事さに尽きます。
他人より遥かな先を見通していたその先見の明、社会に貢献するためという明確な理念、50歳を過ぎても常に革新的でエネルギッシュ。その人物像は実に圧巻です。
もしドラのおかげで、経営学者ドラッカーの名前が再び注目されていますが、そのドラッカーが経営者としてのビジョン、人間性を含めて絶賛し、30年以上にも亘る親交を結んでいたのが、この立石一真氏だったそうです。

いつの時代になっても、立石一真氏から学ぶところは多いと思います。ビジネス小説、起業家小説としても面白く、是非お薦めする一冊です。

星雲の志/立石電機創業/倒産の危機/プロデューサー・システム/夢のスイッチ/生い立ちと社憲/自動販売機と再婚/交通管制システム/CDと無人駅システム/健康工学と福祉工場/電卓の誤算/大企業病退治/人を幸せにする人が幸せになる

   


  

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