和田 誠著作のページ


1936年生、多摩美術大学卒。イラストレーター、グラフィックデザイナー、映画監督。「ビギン・ザ・ビギン」にて日本ノンフィクション賞、「銀座界隈ドキドキの日々」にて講談社エッセイ賞、映画「麻雀放浪記」にて報知映画賞新人賞、同「怪盗ルビイ」にてブルーリボン賞を受賞。

 


             

●「シネマ今昔問答」● 

  

 
2004年2月
新書館刊

(1300円+税)

 

2004/03/05

帯に「映画 835本の醍醐味」とあるように、和田さんが映画について自由に語り明かした一冊。全体を37のテーマに分けて語られており、そのうち特に面白かったものは、下に列記したとおり。
TVのロードショー全盛時代を通して映画好きになった世代としては、懐かしく思う作品が随所に登場します。

和田さんの語りにより、映画の変遷を知ることも楽しい。サイレントからトーキーへ、西部劇・時代劇の盛衰、ミュージカル映画の興隆と衰退、リメーク映画の多いこと、等々。
また、エピソードも楽しい。アニーよ銃をとれでアニーを養女としたインディアン酋長シッティング・ブルが、カスター将軍率いる第七騎兵隊を全滅させた、あのスー族の酋長だったとは! 
その「アニー」は、当初ジュディ・ガーランド主演でクラインクインしたものの、ガーランドの体調不良によりベティ・ハットンに交替。フレッド・アステアの「ブロードウェイのバークレー夫妻」もまた同じ事情でガーランドからジンジャー・ロジャースに交替し、その結果として久々のアステア・ロジャースコンビ第10作になったとか。
さらに、そのアステアとジュディ・ガーランドが共演してヒットした「イースター・パレード」は、元々ジーン・ケリー主演予定だったが、ケリーの怪我によりアステアに交替したものだったとか。
エロール・フリンジャン・マレーモーリン・オハラリチャード・ウイドマーク、水中ミュージカル・スターとなったエスター・ウィリアムズらの名前もまた懐かしく、楽しい。

しかし、本書の一番の魅力は、映画のワンシーンを描いた和田さんの書き下ろし挿絵20枚でしょう。
映画作品がずらずらと語りだされた1冊ですけれど、映画ファンとしては充分楽しいものがあります。

チャップリン/リアルタイム/サイレント映画/活弁の時代/字幕と吹替え/リメーク/西部劇/ジョン・フォード/西部劇の監督たち/海賊映画/東西チャンバラ映画/ミュージカル/ミュージカル映画の誕生/アステア=ロジャース/ジーン・ケリィ/戦時中のミュージカル/ミュージカル黄金時代/舞台ミュージカル/大作ミュージカル/スラップスティック・コメディ

  


  

to Top Page     to エッセィ等 Index