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1.ニッポンFSXを撃て(文庫改題:たそがれゆく日米同盟) 3.ウルトラ・ダラー |
●「ニッポンFSXを撃て」● ★★★ |
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2006年07月
1992/02/18
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副題は「日米冷戦への導火線・新ゼロ戦計画」。 本書は外交のかけひきの機微、また卑しさを教えてくれる書でもあります。当時の栗原防衛庁長官、米のワインバーガー国防長官の会談の様はまさに圧巻。 日米の同盟関係を重視し日本への支援に回った人々も、湾岸戦争に対する日本の消極的な協力姿勢から、地位の後退あるいは退任を余儀なくされた。 ケビン・カーンズのたったひとりの反乱/日の丸FSXの堕落/反FSX包囲網/政権内部のFSX戦争/舵をきるブッシュ政権/フォギー・ボトムの憂鬱/ 対決は議会へ/勇気ある人々/すべては東芝事件から始まった/黄昏の日米同盟 |
●「一九九一年
日本の敗北」● ★★ |
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1993/12/04
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「日本FSXを撃て」を読んだ時ほどの衝撃は無かった。知日派の国際人に対する日本の裏切りといった結果の顛末は、同著で知り得ているからである。 軍隊の派遣と資金の拠出、国民の痛みという点では前者の方が大きいかもしれないが、政治としては軍隊の派遣も資金援助も困難さにおいて同等ではなかったか。 プロローグ−「極東のクウェート」と呼ばれた日本/手さぐりのミッション/策士たちの秋−バンダルとベーカー/日本への遺書/中東貢献策漂流す/会議は踊る/「Dデー」を探れ/テヘラン発緊急電/密室の「湾岸方程式」/ハシモト蔵相の光と影/痛恨の二元外交−日本敗れたり/エピローグ |
●「ウルトラ・ダラー」● ★ |
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2007年12月
2006/04/04
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NHKワシントン支局長だった手嶋さんが、外交ジャーナリストとして独立して最初の著作。 「ニッポンFSXを撃て」「一九九一年日本の敗北」が面白さが格別だったので本書にも期待したのですが、残念ながら面白味としては今ひとつ。 ※なお、この小説の中で手嶋さんは、中東にのめり過ぎる余り米国が東アジアのパワー・バランスを崩していると警告を発していますが、それには全く同感。本当に憂うべく事態です。 |
4. | |
●「ブラック・スワン降臨−9.11-3.11インテリジェンス十年戦争−」● ★★☆ |
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2011/12/26
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題名にある“ブラック・スワン”とは、有り得ない事態が現実となることの隠喩(メタファー)なのだそうです。 冒頭、米国はビンラディンを手中にできる機会を提供されていたにもかかわらず彼を放置してしまった(クリントン政権で当時責任者であったのが現国連大使スーザン・ライス)、その結果が米国民に多くの犠牲をもたらした、と手嶋さんは鋭く指摘しています。 日本の危機は、とくに民主党政権になってから拡大しているといって間違いないでしょう。現状認識力も情報収集力も分析力も決断力も何ら持たず、外交の継続性という重要さもまるで理解していなかった鳩山、菅という2人が続いて首相の座にあった所為と言わざるを得ませんが、そんなレベルの人物が首相という座についてしまう日本の状況がとても怖い。 現在の日本について、具体的状況をつぶさに語りながら手嶋さんが打ち鳴らした警鐘の書。 ブラック・ホークが舞い降りた/情報策源地グアンタナモ/テロリストたちの航跡/ワシントン支局長の 264時間/戦争は一角獣に乗って/アメリカの余りに永き不在/縮みゆくニッポン/黒鳥が舞い降りた |