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「日本神話はいかに描かれてきたか−近代国家が求めたイメージ−」 ★☆ |
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日本神話が広められていった、確立されていったその成り立ちについて語った書かと思ったのですが、私の勘違いだったようです。 本書は、明治期以降、天皇による支配の正統性を維新政府が訴えていくうえで、記紀(古事記・日本書紀)の説話を広めるのにあたって図像化が広く行われた、その変遷について語るものでした。 維新によって天皇を国家統治の基に据えたことによってその由来を記紀の記述に求めた、西欧社会においてキリスト教信仰が多くの宗教画等美術に支えられているに倣って、神話・説話の図像化が図られていった、その詳細ならびに変容が説明されています。 当初の興味は逸らされたような気はしたものの、新たな見方を教えられたようで、それなりに興味深く本書を読みました。 記紀に基づく神話・説話が広く知られるようになったのは、維新政府の行うところによるものだったのですねぇ。 はじめに/1.結婚式の神となったイザナキとイザナミ/2.ヤマタノオロチ退治の演出法/3.「ワニ」とはなにをさすのか/4.サルタヒコとアメノウズメは夫婦神か/5.つくられた神武天皇/6.戦う英雄、神功皇后/終章.そして漂白の現代へ/あとがき |