村岡恵理著作のページ


1967年生、成城大学文芸学部卒。ライターとして雑誌を中心に活動。祖母は翻訳家の村岡花子氏(1893〜1968)。91年より祖母の書斎を「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」として翻訳家の姉・村岡美枝と共に著作物、蔵書、資料を保存しており、月に2〜3回予約制にて書斎を公開している。

 
赤毛のアン記念館・村岡花子文庫
 


       

●「アンのゆりかご−村岡花子の生涯−」● ★★


アンのゆりかご画像

2008年06月
マガジンハウス刊
(1900円+税)

2011年09月
新潮文庫化

 

2008/08/19

 

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本好きの子供ならきっとその翻訳作品を読んだことがあるであろう、翻訳家・村岡花子さんの生涯を、孫娘である恵理氏が描いた一冊。

村岡花子さんと言えば、およそ子供の頃から親しんだ児童向け名作は村岡さん訳が多かったですし、村岡さんの訳による作品に外れはなかった、というのは子供の頃から本好きだった人にとって共通の思いではないでしょうか。
そこから、村岡花子さんの果たした功績の大きさをぼんやりとは感じつつも、それ以上村岡さんについて知ろうとは思いませんでした。
村岡が訳した作品の素晴らしさを味わうだけで、それだけで充分と思っていたのかもしれません。
長年そんな思いを抱いて過ごした来たところで、村岡さんの生涯をつぶさに語るこの一冊。
初めて村岡さんの先駆者としての奮闘、苦労、その功績の大きさを具体的に知るに至って、改めて村岡さんに感謝したい気持ちが膨れ上がっていくのを感じます。

村岡さん訳といえばこの本と言われるくらい有名になった赤毛のアン。戦争が始まって、日本から去ることになったカナダ人女性宣教師のミス・ショーが、いつか平和が訪れた時に日本の少女たちに紹介して欲しいといってこの作品を村岡さんに託したとのこと。いい話だなぁ、と思います。
それだけの価値がこの作品に、ひいては文学にある、ということが、本好きにとって何より嬉しいこと。

※なお、村岡さんが愛読した作品として紹介されている一冊が、ジーン・ポーター「リンバロストの乙女「そばかすの少年」と並んで素晴らしい作品なのですが、現在絶版であることが改めて残念至極。
※※その他、村岡さんの代表的なものというとパレアナか。

P.戦火の中で「赤毛のアン」を訳す(1945)/
1.ミッション・スクールの寄宿舎へ(1893-1903)/2.英米文学との出会い(1904-07)/3.「腹心の友」の導き(1908-13)/4.大人も子供も楽しめる本を(1914-17)/5.魂の住み家(1918-21)/6.悲しみを越えて(1922-27)/7.婦人参政権を求めて(1928-38)/8.戦時に立てた友情の証(1939-45)/9.「赤毛のアン」ついに刊行(1946-52)/10.愛おしい人々、そして本(1953-68)/
E.「赤毛のアン」記念館に、祖母の書斎は残る

   


   

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