宮本映子著作のページ


1961年広島県尾道市生、家庭の事情から青山学院大学英米文学科中退。10歳の時姉から贈られた一冊の写真集でイタリアに魅せられ、その写真家と文通を始める。「イタリアにてウェイトレス募集」の広告に応じて85年渡伊。ミラノの日本料理店で働いてた時に給仕人のアントニオ・シネージと出会って結婚、大家族(両親+5人姉妹)に嫁入り。現在は夫の経営するレストランを手伝いつつ、エッセイを書き綴る。「ミラノ朝のバールで」は初のエッセイ集。

 


   

●「ミラノ 朝のバールで Milano...al var del mattino」● ★★☆




2008年02月
文芸春秋刊

(1381円+税)

 

2008/03/08

 

amazon.co.jp

これは、ホント楽しい、イタリア暮らしエッセイ。
著者のエイコさんは、10歳のとき写真集でイタリアに魅せられ、24歳のとき「イタリアの日本料理店でウェイトレス募集」に応募して初めて海外に渡り、1年後出会ったアントニオ氏と結婚して今はミラノ暮らしという女性です。

本書の何が楽しいって、読んでいるとまるで自分もまたイタリアで暮らしているような気分、それも楽しんで暮らしているという気分になるからです。
生き生きと暮らしを、おしゃべりを、食べたり飲んだりを楽しんでいるイタリア人気質。朝の“バール”(カフェバーといったところか)の洒落た雰囲気が、まさに行間から立ち昇ってくるようです。
どんなことにも良い面と悪い面がある。イタリアという国や、イタリア人気質についてもそれは同じこと。本書では、それをすべからく良い方に捉えているところに好感が持て、それがそのまま楽しさ溢れるという雰囲気に繋がっています。それは第一に、著者のイタリア大好きという気持ちがあるからこそ。
もちろん、そこに至るまでの苦労がなかった訳ではありません。渡伊したものの外国での孤独な生活に耐えかね、挫折に終わったかどうかとは紙一重だったことが冒頭で語られています。

単に幼い頃に見た写真に惹かれてイタリアが好きになった、というだけではすまなかったのです。

そんな峠を乗り越えた後の思い切りがあるからこそ、こうしてイタリアという国、イタリア人の良さを受け入れ、楽しむことができているのでしょう。
本書を読んでるとすっかりイタリア贔屓になってしまいそうですが、実際にエイコさんが呆れ返り、あるいは笑って飛ばしてしまったような幾つもの場面に出くわした時、鷹揚に構えていられるかというと、自信ないなぁ・・・。(苦笑)
そんな私でも、日々の生活を少しでもより多く楽しもうという気持ちは、大切なことだと思います。

 

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