前間孝則著作のページ


1946年佐賀県生。石川播磨重工業(現IHI)にてジェットエンジンの設計に20年余従事。88年同社を退社し、執筆活動入り。

 


      

「ホンダジェット−開発リーダーが語る30年の全軌跡− ★★




2015年09月
新潮社刊

(1600円+税)

2019年01月
新潮文庫化



2015/10/22



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ホンダが独自開発したビジネスジェット機“ホンダジェット”
開発着手から事業開始まで30年間に亘るその軌跡を語り尽くした一冊。

奇しくも時期を同じくして目に触れるようになった日本製ジェット機が、ホンダジェットと三菱重工の
MRJ
片や小型のビジネスジェット機、片や小型旅客機という違いはありますが、戦後漸くにして登場した日本のジェット機として大いに期待したい処。
とはいえ、2つのジェット機に対する私の想いは大きく異なります。三菱重工のMRJについては日本の旅客航空機事業として成功してもらいたいという気持ちしか感じません(エンジンは外国メーカーのもの)が、エンジンも期待も独自開発したというホンダジェットについてはその姿を一目見るだけでワクワクするような思いに駆られます。
何と言っても惹きつけられるのは、主翼の上にエンジンを置くという他にはない独創的な姿!。
遥かな夢、新たな分野への挑戦、独創性に満ちた機体、前例にとらわれない独自開発、同クラスの他機を凌駕するその性能。
「まるでスポーツカーのようだ」という言葉ほど、ホンダに対する賞賛として相応しい言葉はないのではないか。
企業において収益力と安定性はもちろん大切なものでしょうけれど、果敢な挑戦、成功ということ程胸を躍らせるものはない、と思います。

日本の自動車メーカーが何故ジェット機という疑問を抱かないではありませんでしたが、元々ホンダ創業者の本田宗一郎氏自身に航空機への想いはあったといいます。それでも30年にも亘る開発を継続してきたのは、本田宗一郎氏のDNAが脈々と受け継がれてきたからと、著者に言われるまでもなく感じます。
ただ、ジェット機を開発することと、事業として展開することは全く別のことであるとは、本書を読むまで理解が及びませんでした。

ノンフィクション作品ですけれど、フィクション以上にワクワクさせられる一冊。本書を読了した後は、これまでにも増してホンダジェットの姿に惚れ込んでしまった気がします。お薦め。


序章/ホンダ航空機事業参入の衝撃/1.創業者精神の水脈/2.五里霧中の日々/3.ハードウェアで世界を変える/4.飛翔への道程/終章.グローバル時代の新次元へ

 


  

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