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●「コチェビよ、脱北の河を渡れ−中朝国境滞在記−」● ★☆ |
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2012/11/25
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たまたま蓮池薫「拉致と決断」を読了したところで北朝鮮関連本が続くことになりましたが、「拉致と決断」が北朝鮮内部から見た観察記であるのに対し、本書は北朝鮮国外ながら極近接した現場からの観察記。両書を続けて読むと、北朝鮮に住む人々の生活苦の状態が立体的に浮かび上がって感じられます。 著者は在日コリアン二世で、父親は在日本朝鮮人総聯合会の熱心な活動者。しかし著者は、母親の強い意思の下で日本の学校に進学したものの、高校での学業不振から朝鮮学校に転入、但し大学はまた日本の大学へ。そこで知己となった李英和教授が8ヵ月間北朝鮮に留学して帰ってきた途端、「あの国はヤバい。一日も早くなんとかしなければ大変な事になる」「このままの食糧事情が続けば、間違いなく餓死者が出る!」と。そこから生まれ、著者も一員となったのが北朝鮮の民主化を訴えるNGO=RENK(救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク)だそうです。そして金正日時代となり、著者が脱北者の実情を知りたいと留学名目で向かったのが中朝国境の町「延吉(ヨンギル)」。 延吉市で著者が何を見聞きし、それらについてどういう思いを抱いたか、またその後の出来事については本書を読んでもらう他ありませんが、元は父祖の故国であり、かつては北朝鮮=理想の国と信じた在日コリアン一世・二世の思いは複雑なようです。 プロローグ−Xデー/そうだ、延吉へ行こう!/脱北の町へ/脱北者との日々/衝撃映像/脱北者のその後/北朝鮮デジタル革命/金正恩の実母/エピローグ |