川北隆雄著作のページ


1948年大阪府生、東京大学法学部卒。中日新聞社入社、東京本社(東京新聞)社会部等を経て論説委員。他の著書に「大蔵省」(講談社現代新書)、「日本銀行」(岩波新書)、「官僚たちの縄張り」(新潮選書)あり。

 


 

●「国売りたまふことなかれ−大蔵省にかすめとられた日本−」● ★★




2000年3月
新潮社刊
1400円+税)

 

2000/03/25

副題から判るように、大蔵省を徹底糾弾した書です。
大蔵省および日本の抱える根源的問題点を、具体的かつ明確にまとめあげてくれていますから、とても判りやすく、参考になるのではないでしょうか。
大蔵省ばかりが悪いとは決して思いません。昨今の警察不祥事を見ても、官僚体質が江戸幕府時代の 民の上に君臨する という意識をいまだ引きずっていることは明らかで、各省庁概ね同様のことが言えます。また、官僚だけでなく、それを許してきた政治家の責任が重いといえます。
しかし、そうではあっても、大蔵省の場合は言語同断に酷い!と言わざるを得ません。まさに“大蔵省あって国家なし”
大蔵省のどんなところが酷いのか、何故そのようなことが許されてきたのか、それは本書を読むとよく理解できます。
まず、国および各省庁の予算作成(歳出)をすべて牛耳っていること、税制という歳入の根幹を握っていること、そして国税庁(著者言うところの“マネー警察”)の腕力をもって政治家を脅し自己保身を図っていること。数えあげればキリがありません。
政治家自身スネに傷をもつ実力者が多いのですから、マネー警察をちらつかせられて脅かされれば、何もできないのは当然(寂しいですけれど)。それなら、一般国民は何を頼みにすれば良いのでしょうか。
まずは、大蔵省の問題点を知ることから始めるのが第一、と思います。

1章 「官庁の中の官庁」の再出発/第2章 財務省への道/第3章 護送船団の功罪/第4章 最強官庁の最強軍団、主計局/第5章 公共事業のゆがんだ構造/第6章 財政投融資の深い闇/第7章 税への執念/第8章 「マネー警察」国税庁/第9章 「大蔵帝国」の版図/第10章 死にもの狂いの組織防

 


 

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