紀行は楽しいものですが、本書については兼高さんの簡潔で平明、かつ慎み深い(兼高さんの人柄をそのまま表したような)文章にも惹かれます。
TBS“世界の旅”においても、ナレーター役の芥川隆之さんとの品の良い口調でのやりとりが忘れられません。
本書は世界
160ヵ国を訪れた兼高さんが、お気に入りの場所を紹介したエッセイ本です。したがって、それぞれの地に魅力が溢れているのも当然のことと言えるでしょう。
その中でも私が魅力に感じたのは、イギリスの田園地方。ことにスコットランドのグレンイーグルス・ホテル。何をすることもなく、格調ある静けさの中にただ自分を委ねる。なんと素敵なことでしょう。
本書に挙げられた数々の憩いの地。そこに共通するものを考えると、与えられた自然・環境を大切にしつつ自分の生活を楽しむ、という姿勢にあるのではないかと思います。
以下、表紙の裏にある要約の転記です。
北極:氷と雪の美しい世界
ミディ運河(フランス):船のホテルをお伴に旅する
シナイ山(エジプト):神秘的な聖書の世界
フロリダ・キーズ(アメリカ):ヘミングウェイゆかりの地
ペトラ(ヨルダン):馬の背にゆられて古代の神殿へ
ガラパゴス諸島イースター島(エクアドル・チリ):地球の歴史を伝える島々
オウツホールン(南アフリカ):駝鳥に乗って走る
スピッツベルゲン(ノルウェー):白夜のフィヨルド
キャンディ(スリランカ):象のパレード、ペラヘラ祭り
イスタンブール(トルコ):歴史と遺跡の宝庫
セント・アイヴス(イギリス):芸術家に愛された土地
チュニス(チュニジア):古代の歴史が燦然と輝いて
グレンイーグルス(スコットランド):静寂という音の中にひたる
ハルガ(エジプト):砂漠の真ん中にある街
マスカット(オマーン):中近東の古い都のたたずまいが残る
ノーフォーク(イギリス):英国の庭といわれる田園風景
ロフォーテン諸島(ノルウェー):世界有数の風光明媚を誇る
コロラド川(アメリカ):ロッキー山脈に源を発して/砂漠をうるおして消える
タラワ島(キリバス):コバルトの海に浮かぶ美しい島々
ラヴェンナ(イタリア):モザイク芸術の町
リパリ諸島(イタリア):恋に火がつく火山の島々
スル海(フィリピン):心うばわれる夕日の美しさ
ロックフォール(フランス):チーズのふるさと
ドナウ川(オーストリア):ワインのふるさと
ミクロネシア(ミクロネシア連邦):日本との深い関わりの中で
ミシガン(アメリカ):サクランボの世界の首都
カリブ海(ジャマイカ他):世界有数のリゾート
ライン川(スイス・ドイツ):数々の城と伝説に彩られて
世界の温泉:世界にある温泉のいろいろ
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