岩合光昭・日出子著作のページ


岩合光昭:1950年東京都生、写真家。野性動物の写真を多く撮り続けている。

岩合日出子:岩合光昭氏の夫人、神奈川県横浜市生。1975年に光昭氏と結婚。現在山梨県小淵沢町に在住。

1.アフリカポレポレ(岩合日出子著)

2.スノーモンキー(岩合光昭・岩合日出子共著)

3.たくましく育ってほしい(写真:岩合光昭・文:岩合日出子)

  


    

1.

●「アフリカ ポレポレ」● ★★★
 (岩合日出子著)

  

1985年9月
朝日新聞社刊


1990年2月
新潮文庫

  

1990/04/14

 

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本書は、動物写真家の夫・岩合光昭氏に従ってタンザニアで一年半を過ごした、夫人・日出子さんと一人娘・ちゃんの生活記録です。
アフリカと言うと広大なサバンナと動物を連想しますが、実際に生活するとなると、都会人からみて想像を絶する世界です。
親子3人の生活は、タンザニアの内陸地にあるセレンゲティ国立公園の中のセロネラが中心となります。
まず、食料が問題。肉や野菜は現地で購入するものの、いろいろな材料を日本から持っていき、一年半の間それをもたせています。また、水が出ないという問題。遠くからくる水のパイプラインは、年中故障していて水の出ることの方が少ない。雨も殆ど降らず、水タンクが空になりかけることも度々。風呂などはまず入れません。料理は、薪で火を熾し、古い英国製のかまどでします。そして、ムーの大群が近くを移動するときは、ハエ、ハエの凄さ。また、光昭氏がライオンの狩りの様子を追いかけていた時は、ダニ、そして肉食蟻がこれまた凄い。TVなど勿論あるわけはなく、近くに人家もない。そして、日出子さんの一日は、食事の仕度と洗濯の繰り返し。よくもまあ、辛抱できたものだと感心します。
亭主の方は、都会と変わらず、「メシ、洗濯(風呂と優先順位が異なります)」です。ところが、日出子さんの苦労は日本とは大違い。洗濯にしろ、盥+人力です。
当の日出子さんが書いているだけに、生活の実感があります。そして、4歳の薫ちゃん。子供というのは、こんなにも適応性と感受性を備えているのかと感心します。ライオンの狩り、餌となったシマウマ、それを見る子供の思いは、大人が予想するのとははるかに異なったもの。
セネロラの、アカシアの木がある家の写真を見ると、まさにアフリカの真っ只中。仕事に夢中の夫は何をしでかすか判らない。でも、それに従う家族の苦労は大変なものです。しかし、家族3人が本当に寄り添って生活した一年半は、振り返ると貴重な思い出になったことだろうと思います。
※「ポレポレ」とは、ゆっくり、という意味だそうです。

     

2.

●「スノーモンキー」 ★★
 
(岩合光昭・日出子共著)


スノーモンキー画像

1996年11月
新潮社刊


2001年2月
新潮文庫
(590円+税)

    

2001/02/18

長野県地獄谷温泉に生息するニホンザルを、1994年から3年間撮り続けた写真集です。
1970年、地獄谷で温泉に浸かるサルの写真がアメリカの写真雑誌「ライフ」の表紙を飾り、その寛いだ表情から“スノーモンキー”として評判になったそうです。
地獄谷のサルと岩合さんとの付き合いは、娘の薫チャンが3歳の時から。その時小さかった薫チャンが、猿の仲間に間違われて右肩をかまれたそうです。それをヒントに、岩合さんはサルの目線になって、この写真を撮り続けたそうです。
その所為か、写真からは、まるで仲間たちの姿を捉えているような温かい視線が感じられます。写真の頁を繰るうち、サルたちに深い親しみを感じてしまいます。けれども、それで良いのかと、ハッとします。ニホンザルは人間に近いといってもやはり野性動物。時に観光の名物ともなり、時には害獣ともなります。それを忘れてはいけない。
でも、それを忘れさせるような愛嬌が、この写真集から感じられます。とくに子ザルの姿。なかでも、スノーモンキーの名にふさわしく、雪の中で活発に遊ぶ子ザルたちの姿です。
表紙の写真は、雪玉を抱えて、これから遊ぼうとする子ザルの姿。雪合戦に夢中になる子供たちと、似たものが感じられて愉快になります。
この写真集は、冬→春→夏→秋→また冬と、四季を追っていますので、日本の四季の美しさもまた感じられる一冊です。

遊び/雪玉/春/アカンボが動く/動かないアカンボ/メスたち/オスたち/種/食べる/ニホンザル学小事典

霊長類は5群に大別できるそうです。
1.原猿・・・キツネザル等祖先的な特徴を備えたサル類
2.新世界ザル・・・リスザル、クモザル等中南米に棲むサル類
3.旧世界ザル・・・
ニホンザル、ヒヒ等アジア・アフリカに棲むサル類
4.類人猿・・・小型のテナガザル科と大型のオランウータン科に2別
5.ヒト

    

3.

●「たくましく育ってほしい」 ★★
 
(写真:岩合光昭・文:岩合日出子)

 
たくましく育ってほしい画像
 
1997年7月
中央公論社刊

2002年6月
新潮文庫
(590円+税)

 
2002/06/09

97年7月中央公論社から刊行された「親子。」を改題、写真・文ともに手を加えた文庫化。

大自然の厳しい環境の中で生まれ育っていく、親子の写真が主体の一冊です。
一口に大自然の中の動物といっても、種によって親子の関係も育て方も、それはさまざま。
どのページ、写真をみても、そこには人間の子供と変わらない子供らしい表情、仕草があり、可愛らしさを感じるから不思議で面白い。
本書は、動物好きの娘にプレゼントと思って買いました。
我が家では金魚しか飼っていませんので、その償いという気持ちを含めて。

タテゴトアザラシ/オウサマペンギン/アカカンガルー/アフリカゾウ/チーター/アホウドリ/ハンドウイルカ/ロックハイラックス/アナウサギ/アデリーペンギン/ライオン/ヌー/ブチハイエナ/ニホンザル/アキシスジカ/カバ/キリン/ロウバシガン/サバンナシマウマ/ガラパゴスゾウガメ/ラッコ/オーストラリアアシカ/シロイワヤギ/ワオキツネザル/ズキンアザラシ/ザトウクジラ

    


 

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