一得庵亜湖
(いっとくあん・あこ)著作のページ


神奈川県出身。米国留学より帰国後、禅寺での茶道修業を経て、茶家の内弟子として修業。現在「日本茶道塾」事務局長。

※ 日本茶道塾 → http://www1.ocn.ne.jp/~sadojuku/


   

●「走り出した和の心」● ★★




2003年11月
日本文学館刊

(1400円+税)

 

2004/03/14

トラックの荷台に茶室を積んで全国を行脚する−そんな奇抜な発想を実行したのが、静岡県の茶道グループ“日本茶道塾”
本書は、その移動茶室=「運庵」とともに1年間、代表の吉野白雲塾長に随って全国を回った一得庵さんによる行脚日記。

本書を読んでいて楽しいのは、気分の良さにあります。
各地を訪れ、ネット上での知り合った人達との交流も楽しそうですが、それ以上に自由な気分でお茶を楽しむ、その雰囲気が爽やかです。
茶道のことはよく知りませんが、○○流とか、とかく格式ばった印象があります。日本茶道塾は、そうした流派にこだわらずお茶を楽しもうと活動しているグループとの由。それを実践するかのように、運庵を使ったお茶会は和やかで開放的な雰囲気が印象的です。
お茶は本来人と人との出会いを豊かにするもの、その為の礼儀が作法であり、作法のための茶道ではないという主張は、白雲氏が繰り返し語っていること。その言葉が耳に気持ち良い。

全国行脚の旅は、まず静岡〜名古屋〜姫路〜広島〜博多と南下。次いで、静岡〜埼玉(秩父)〜福島〜仙台〜八戸〜北海道(本別〜霧多布〜芽室)と北上の旅。
運庵という茶室を運ぶ旅ではなく、お茶の心を運ぶ旅だったことでしょう。

 


     

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