他県から京都にやってきて何時の間にか居着き、アウェイな場所=京都で新たな仕事を始めた10人を取材した内容をまとめた1冊(計9篇)。
各人に共通するのは、自分がやりたいことにこだわる姿です。
そこに至るまでの各人の経歴、起業までの道のり、その結果、とどれも興味深い話ばかりですが、全体を通して読んでいくとそこから京都という街の魅力が透けて見えるように感じます。
古い伝統が息づいているという地盤があり、そう簡単に余所者に心を開かないが、それでいてしっかり新しいものを受け入れている。だからこそ古き良きものと新しき良さが融合して多様な魅力を生み出している街、というように。
勝手な想像かもしれませんが、東京で起業したら商売として成功したかどうかを問われる気がしますが、京都だから自分のやりたいことに拘ることもできたのでは、という気がします。
また、京都の町屋を活かすゲストハウス等の仕事について、特に魅力いっぱいに感じられました。
思っていた以上に国際性ある街、そして懐が深く、しかもしたたかな京都という街の魅力を、観光とは別の角度から味わえる一冊です。
古の色を再現する染色の道 気づくとそこに京都があった(天然色工房手染メ屋 青木正明) / 豆の魅力を余すところなく伝える京都発のおいしいコーヒー店(WEEKENDERS
COFFEE 金子将浩) / 人の縁に支えられた四○年 度重なる転職を経て見つけたパンづくり(キートス 土持裕昭) / 古民家で異文化を融合させながらひたむきにチョコレートと向き合う(京都生ショコラKyoto生chocolat
Organic tea House 中西広文) / 放浪帰りの素人が始めた賃貸事業は「よそ者」と京都を繋ぐ架け橋に(株式会社フラットエージェンシー
吉田光一) / 旅する拠点「ゲストハウス」で自分らしい生き方を拓く(ゲストハウス和楽庵 ルバキュエール裕紀) / 京都ファンの先頭を走って「洛」の魅力を発掘(株式会社らくたび
山村純也・若村亮) / 自分たちだけのものづくりから人と人をつなぐ橋渡しの仕事へ(カロト革製品と手仕事のもの 加藤俊輔) / 華と学びのある京都で、じわりじわりと歩を進める(蒔絵師
石原律枝)
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