甘里君香
(あまりきみか)著作のページ


1958年東京都生。フリーランスランターとして編集プロダクションを主宰し、「アンアン」「フラウ」等で執筆。93年京都に転居し、雑誌等で京都について執筆。専門テーマは京都、子育て、男女および家族問題。

 


   

●「京都スタイル」● ★★




2002年6月
毎日新聞社刊

2005年9月
新潮文庫
(400円+税)

 

2005/10/22

東京から京都に移り住んだ著者による、京都人の真骨頂、京都の生活スタイルを語り明かしたエッセイ集。
なるほどそうだったのかと納得いくことばかり。京都について不思議に思っていたことがあれば、是非ページをめくってみたい一冊です。

東京から関西へ転勤となると、相手の言葉を文字通り信じちゃダメ、関西人は油断がならない等々と、脅かされるのが常でした。一口に関西人といっても、一番恐いのは京都人だったのかもしれない。
著者の甘里さんは元々東京人だった故に、京都で驚いたことも、キツイ言葉に恐れおののいたことも、その知恵者ぶりに感心することもあったようです。それだからこそ、京都人の良いところも悪いところも含めて公平に描くことができた、そう思います。
甘里さんのひとつひとつ指摘するポイント、どれも的を射ていて納得いくことばかりです。
プライドが高くかつ自身の価値観を絶対視する、人の批評を遠慮なくする、自分の家に人を招かない、「洗い替え」等の言葉をうまく使って見栄を張り、無駄な買いものを一切しない、古ぼけたものを価値あるものと言い換えてしまう等々、京都人は古来よりしたたかに生きてきたのです。

それでも、単身赴任していた時に感じたのですが、鴨川のほとりを散策するのは気持ち良いし、鴨川と貴船川にかけられる川床には憧れを抱きます。
やたら新しいものばかりを追い求める現代の風潮にあって、こんな京都スタイルは貴重なものです。

はじめに(伝統が伝える逞しさ)/わたしがよければそれでいい/京都は伝染する/高価なものを「ほんのすこーし」/すべての価値は自分が決める/自然と交流するデザイン/あとがき(京都があってよかった)

 


     

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