彬子(あきこ)女王著作のページ


1981年生まれ、故三笠宮寛仁親王殿下の第一王女。学習院大学卒業後、オックスフォード大学マートン・コレッジに留学、在外の日本美術コレクションの調査・研究にあたり女性皇族として初めて博士号を取得。
立命館大学総合研究機構のポストドクトラルフェロー、特別招聘准教授を経て、日本・トルコ協会総裁、一般社団法人日英協会名誉総裁、公益社団法人日本プロスキー教師協会総裁、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会名誉総裁、一般社団法人心游舎総裁、京都産業大学日本文化研究所特別教授、京都市立芸術大学客員教授等、役職多数。

1.赤と青のガウン 

2.京都 ものがたりの道 

 


            

1.
「赤と青のガウン−オックスフォード留学記− ★★☆


赤と青のガウン

2015年01月
PHP研究所


2024年04月
PHP文庫

(1200円+税)



2024/11/07



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2017年に京都 ものがたりの道を読んだ折、そのうちに本書も読もうと思っていたのですが、うっかりそのままに。
思い出してさぁ読もうと思ったら、図書館では本書(単行本・文庫本共に)への予約が殺到中。
何時の間に、何故こんなに人気が高まっていたのかと驚いたのですが、後悔遅し。結局、文庫本を購入して読みました。
 
まず面白い! そして魅力と興味溢れる留学記、という一言。
 
外国の大学で学ぶ大変さは、
阿川尚之「アメリカが嫌いですかでも得心しましたが、本書では個別具体的に積み上げていくように説明されているので、その大変さがつぶさに理解できます。
オックスフォードで学ぶこと、そのうえさらに博士号を取得することの何と大変なことか。アイガー北壁を登るくらいに大変なことではないかと、絶句する思いでした。
皇族でこれを成し遂げたというのが凄い。ただし、その大変さは誰にとっても同じであって、皇族かどうかには関係ないこと。

ただ、皇族が海外留学すると、生活や行動の面はどうなるのか。
それらについては冒頭で語られます。我々一般国民が知らないことも多く、その点は興味津々。とくに<
側衛>に関する部分、面白かったです。

素晴らしいと感じたのは、留学中に数多くの、そして多彩な人たちと知り合い、親しくなり、繋がりを広めたこと。それこそ、羨ましくなるくらいに貴重な財産、と思います。
それらの点を含め、本留学記=輝かしい青春記、と感じます。
是非、お薦め。

※なお、本留学記については、父君である故三笠宮寛仁親王から留学延長の承認に際し、国民に成果報告の義務があると条件にされたため執筆されたとのこと。納得です。


1.百川学海/2.大信不約/3.苦学力行/4.日常坐臥/5.合縁奇縁/6.一期一会/7.千載一遇/8.危機一髪/9.多事多難/10.奇貨可居/11.五角六張/12.一念通天/13.日常茶飯/14.骨肉之親/15.前途多難/16.一以貫之/17.玉石混交/18.故琴之友/19.傾蓋知己/20.忍之一字/21.当機立断/22.随類応同/23.七転八起/24.進退両難/25.不撓不屈/【特別寄稿】父・寛仁親王の思い出/あとがき/ご留学記に乾杯(解説にかえて−学習院大学元学長・福井憲彦)/文庫版へのあとがき

     

2.

「京都 ものがたりの道 ★★


京都 ものがたりの道

2016年11月
毎日新聞出版
(1400円+税)



2017/10/31



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京都の街はタイムカプセルのよう、と彬子さまは言う。
“時”のカケラが街のそこかしこに埋もれているから、と。
「さあ、京の道へ、時間旅行に出かけよう」という言葉から始まるエッセイ集。
そんな言葉掛けに、冒頭からワクワクと心が弾みます。

その言葉に載せられたように、京都のあの通り、この通りと散策する本エッセイはとても楽しい。
あそこは随分前に行ったことがある、こっちはこの前に行ったばかり、と読みながら思い出す所も多々ありますけれど、場当たり的に訪ねただけで、通りを辿るという発想はなかったなぁ、とつい残念になります。
あの通り、この通りと、本書を手にいつかそんな京都の街歩きをしてみたい、と胸の内に刻んでおくことにしよう。

我々一般人の街歩きと彬子さまの街歩きはちょっと違うのかもしれない、とも思います。
皇族ということで一般人とは違った人や歴史との繋がりがあるように思いますし、気儘な散策といってもお一人でできる訳ではないようです。
外にいるときはいつも皇宮警察の警衛官(側衛官)が側にいて、京都ともなると京都府警の担当警官も加わるそうです。
ただ、護衛といっても子供の頃から側にいてそれが当たり前になっているので、家族のような親近感があるのだそうです。
また、皇宮警察の警官ともなると、警護技術だけでなく教養も求められるそうですから、京都散策のうえで頼もしい付き添いなのかもしれません。

各章の冒頭に挿入されている地図を見比べながら、彬子さまと京都の通りをあちらこちらと辿り、楽しい時間を一緒に過ごした気分になります。彬子さまの率直で飾り気のない文章のおかげも大きい。
現実にはとてもあり得ないことですから、尚のこと楽しき哉。

はじめに/さあ、京の道へ、時間旅行に出かけよう/京都の道を辿ると、それあh歴史をひもとくのに似ている/道はときにふしぎなおとぎ話をも生み出す/あとがき

         


     

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