ドナ・ウィリアムズ著作のページ


Donna Williams  1963年オーストラリア生。幼時より「自分の世界」と「世の中」のズレに悩み、周囲からは「異常」扱いされて不幸な少女時代を送る。大学にて精神医学を学び、自分が自閉症であることを知り、手記を発表。「自閉症だったわたしへ(Nobody Nowhere)」は世界的ベストセラーになる。

 


 

●「ドナの結婚−自閉症だったわたしへ−」● ★★  
 
原題:"LIKE COLOR TO THE BLIND" (文庫改題:自閉症だったわたしへ3)




2002年3月
新潮社刊

(2200円+税)

2005年1月
新潮文庫化

 

2002/06/15

「自閉症だったわたしへ」「こころという名の贈り物」に続く、高機能自閉症である著者自身のことを書き綴った3冊目の手記。
正直言って、当初相当に読みにくかった。
本書は3冊目の手記故に、当然に前2冊の延長として書かれている訳ですが、私が読むのは本書が初めてですから、著者自身の障害がどういったものであるのか、それが判らなかった。それ故に読み進んでいくのがしんどかった、というのが事実です。
私が本書に興味をもったのは、私の長男が小さい頃自閉症と判断され、普通の小学校にあがるのは難しいのではないか、と言われた過去があるから。また、同僚の子供2人が共に自閉症で、相当な苦労をしていることを聞いている、ということもあります。

自閉症の人たちがどれだけの試練を強いられているか、それを健康な人間が知ることは難しい。その点、自閉症を負った本人自らが、自身の内面を語った本書は、とても貴重なものです。
普通の人が普通に行うこと、そんな当たり前のことを行うだけでも、著者はひとつひとつ内面での闘いを強いられます。著者が記す、自分自身と「防衛心」に別々に質問して夫々の反応を確かめるということも、そのひとつ。
また、正しい眼鏡を入手して、それまでバラバラだった映像が初めて一つのきちんとした映像に繋がって見えた、と言います。
そんな自閉症の2人ドナイアンが結婚するのは、我々が想像するより遥かに大変なこと。
困難に負けず、常に挑戦しようとする著者の姿勢には、称賛の念を抱かずにいられません。

 


   

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